結婚という言葉に疲れ果て 完
朝香るか
第1話 いつも言われる言葉
今度の交際相手と結婚するものと思っていた。
1年半ほど付き合った。
「子供は3人は欲しいな」
という言葉をもらったり、
「結婚しよう」といわれたり、
彼のご両親に挨拶に行ったりもした。
優しそうなご両親で気にいられていると思っていた。
これからの働き方まで相談していた。
けれど結局、
言われる言葉は似たような言葉なんだ。
カフェで通話してもいい場所があり、スマホの通話ボタンをオンにする。
『別れよう――なんか違うんだよね』
ぷつりと切れた電話。
何がいけなかったのかと問いただすこともできなかった。
折り返しをしてみたが、着信拒否になっていた。
あまりにもあっさりと反故にされた数多の約束。
そしてまたかと思う。
恋愛はその繰り返し。
今回は結婚できると思っていた。
(電話一本で破綻してしまうこともあるんだ)
「恋とか、結婚ってしんどいな」
カフェで手帳を眺めてみて思う。
「来週の大安の日は
式場回ろうって言っていたのに」
手帳の予定を修正テープで白紙に戻す。
こういうドライな性格が気に食わないということだろうか。
(切り替えよう)
カフェラテを飲み干して、席を立つ。
(まだ午後の仕事がある)
失恋に嘆く間もなく、泣くこともなかったことはある意味幸いだ。
化粧直しの時間が浮くのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます