第5話
すごろくをした日の夜。
私は、ベッドの上で顔を枕に沈め、足をバタバタさせて悶えていた。
「うーーーー!!!!」
やってしまった。やり切ってしまった。
・・・・計画通りではある。だけど、だけどさぁー。羞恥心は残る。結構逃げ出したいの我慢したんだよ。だってそうじゃん!すごろく中も恥ずかしくてしょうがなかった。・・・悶え、自分との気持ちの折り合いが完全にはつかないけれども最初より落ち着いてきたころ、だんだんちょっとした愚痴があふれ出てくる。
でもさ、どうなの!計画通りではあるよ、あるけどさ!なんで自分ばかり引くのさ!!あーゆうのは、お互いにやることでドギマギ2倍ってもんでしょ!!
彼は全くイベントマスに止まらなかった。えっ?イベントマス少なかった⁉っていうほど止まらなかった。結果的には、私が引きまくった。うーーーー。今思い出すだけで顔が熱くなる。計画も計画だよね⁉だって、どうやったらあんな事を思いつくのやら。もうもう、あの時あんな事を言い出すから――
――数日前。
「ねぇ、いつ告白するの?」
「!!!!」
思わず、吹き出しそうになる。吹き出さないようにすると、のどに詰まりそうになった。飲み込み。咳払いをする。一体、ごはん時に何を言い出すんだ!聞いてきた友人は「あ、大丈夫?」と心配してくれるが、逃さないという目をしていて、もう一人の友人は心配しながらも目がきらきらに輝いていた。気になって仕方がないという目である。・・・・この人たちは、、、、、もう。
飲み込み、何とか話題をそらそうと頭を回す。そして、
「次のさ、課題って――」
「で、いつ告白すんの」
「つぎの――」
「いつ?」
「いーつー?」
・・・・だめだった。と言うよりも、もう一人も合いの手を入れてきた。チラッと目を見るが「逃さねぇぞ」と語っている。弁当から一口口に運びどうするか考える。さらに一口と箸を動かそうとすると、腕がつかまれて動かない。最初に質問した友達が長くきれいな髪を風に吹かれながら止めてきた。そしてもう片方の体ももう一人の友達、髪がショートボブの友人が楽しそうに固めてきた。
に、逃げられない。
「だからさー、告白、もしくは進展してほしいの。こっちとしてはさ」
と髪を膝にかけながら言ってくる。反対方向で首をぶんぶんと縦に振るもう一人。
「いや、でも...」
と渋る私に対して、彼女たちは肩をがっしとつかみ、真剣な目でこちらを見据えながら言ってくる。
「野次馬根性だけじゃないの!・・・後悔してほしくないの!」
「うん、そうだよ。私たちは後悔してほしくない。・・・どうなるかなんてわかんないよ。でも、高校生活はすぐ終わるんだよ。だから、ね」
と伝えてくれる。
それを聞いて、うるっとくる。だが、その感情も・・・・
「7割?くらいは野次馬根性だけど」
「感動を返せ!」
「アピール方法がないと?」
静かに頷く。
「というよりも、恥ずかしくなって、緊張しちゃうんでしょ」
その言葉にも頷きで返す。
「そっか...」
と言い、宙をみながら何かを考えこんでいる。
しばらく時間がたって、もうすぐ授業前を告げるチャイムが鳴りそうである。帰ろうと立ち上がろうとした時、ばっと立ち、髪をなびかせてこちらに向かってにやっと笑った。
「良いこと、思いついた」
嫌な予感しかしない。
「後は、放課後ね」と言われ解散し、教室に戻る。教室まで戻る廊下でも何も教えてくれず、楽しそうに歩いている。「あーして、こーして」と小声で考え事しているのがわかる。
そして昼休みが終わるチャイムが鳴り、午後の授業が始まる。
放課後を告げるチャイムが鳴り、一日が終わる。荷物をまとめて、3人で集まる。
「よし、部室行くか!」
その言葉を皮切りに部室に移動を始める。私たちは文芸部に所属している。部活と言っても、ゆるく集まり、駄弁って好きなことをしているのが中心的な活動である。兼部をしている人もいるくらいである。ゆるく楽しくがモットーなのである。
今日は部室にはだれもおらず、私たちだけだった。鞄を部屋の真ん中にある長机に置き、手をバンっと机をたたき彼女はにっと笑いながら言った。
「ゲームを作ろう!!」
????何を言ってるのかわからない。隣を見るが。彼女も理解ができているようではなかった。二人して頭ににはてなを浮かべて彼女の方を見る。
不思議そうな顔を向けられてもどや顔のまま、ふふっふと満足そうに腕を組み頷いている。
「だってな――――
話をまとめるとこうだった。
アピールする勇気がないなら無理やりにでも状況を作ってしまおうということだった。そこで、ゲームである。ゲーム中であれば、ルールに沿って行動しないといけない。だからこそ、ゲームの内容に仲を進展させるような要素を盛り込むわけである。
そして、話を進めてできたのがあのすごろくである。大胆なことも書いてあり私は恥ずかしかった。自分一人だけだったらあそこまでのものはできなかったと思う。面白半分で入れたのかと疑いたくなるような、私からしたらとんでもないものもあった。こうして、彼女たちの意見も詰まったあのすごろくが完成したのだ。
私は覚悟を決め、実行の日まで気持ちを頑張って作ったのだった――――
あの日のことも思い出し、今日のことも思い出す。私は頑張った、うん頑張ったし、よくやった。うん。枕に顔をうずめながら自分を肯定する。ふーと一息つき天井を見上げる。彼も彼で優しかった。だって、あのすごろくに最後まで付き合ってくれたのだから。
天井をただ眺めながら思うのは、今日のことはどれくらい彼に響いたかなやどう思われたのかのかな、そして・・・・・
(明日からどうしよう////)
ベッドの上に座りながら、明日の準備をするために鞄をあさる。すると、あるものが見つからない。体が足から冷えていくのを感じる。やばいやばい。どういぢししs、よう。どうしよう。
僕は、自分の部屋で机を前にして固まっていた。机の上には教室で拾ったある一枚の紙が置いてある。
――――彼女が帰った後、教室に一人残される。思わず、呆けてしまう。今の時間は何だったのか。・・・意図はわからないが、夢みたいな時間だったことは確かだ。気を取り直して、周りを見回してみると、一枚の紙が落ちていた。それを、拾いみる。そこには――
部屋でもう一度、紙を眺める。書かれていたのは、すごろくについてのメモだった。主にイベントマスの内容が書かれていた。・・・彼女の気持ちもメモされていた。自分を鼓舞するよう内容や、「ここでは、自信をもって」、「余裕そうな表情で」などといった内容で見てしまってよかったのかと悩んでしまう。
椅子の背に体重を預け、後ろにそる。背を伸ばして、一息つく。
それにしても、こんなに、やってない内容があったなんて。。。内容もあれだし、これを実行していたと思うとあれぐらいの量で済んでよかったのかもしれない。9分の3。3分の1を実際にやったことになる。本当にできるものと、実際にやったらどうするの、と言いたくなるものまで書かれていた。・・・これを一人で考えたのだろうか?違う気がするな。・・・でも、実行しようとしたのは彼女だ。彼女が計画段階で関わっているのは目に見えている。
なぜこんな事をしたのか、彼女の考えがわからない。でも、考えるとうぬぼれた考えが出てきてしまう。まさかな。うぬぼれるな。そうと決まったわけじゃない。これで勘違いだったら恥ずかしいぞ!
軽く悶えてから、一息つき天井を仰ぐ。そして、思い出す。手紙をもらってたことを。
――手紙には、彼女の気持ちがこめられていた。
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