殺し屋だった彼女の暗殺準備
教会で有り難ーいお告げを聞いた後。僕は図書館で、積み重ねた本を眺めながらため息を吐いていた。
闇魔法は一旦お預けかなぁ。どの本も"闇"の存在ありきで書かれていて、なんか釈然としないんだよね。
3時間近く本を読んでいたにも関わらず、新たに知った役に立ちそうな情報といえば、魔法のレベルは適正ランクに関わらず、3までは上がりやすいという事くらい。
本当は暗殺の前に、使える武器を1つでも増やしておきたかったんだけど…作戦まであまり時間もないし、今使えるもの、手に入れられるもので策を重ねておいた方が良さそうだ。
闇魔法の習得に見切りをつけ、僕は早々に図書館を後にする。
あ、いたいた。
「あ、フウの姉ちゃん。今日もどっか案内して欲しいのか?」
「うん、冒険者用の雑貨が売ってる店がないか教えて欲しくてね」
「はぁ?そんなもんわざわざ俺に聞かなくても、ギルドの向かい側、そこにあるじゃんか」
あれ、雑貨屋なのかい?随分ぐちゃぐちゃと色んなものが飾られてて、ちょっと怪しいなとは思ってたけど。魔物の頭蓋骨のメットとか、どんな冒険者が買うのさ。
「あ、あの頭蓋骨カッコいいよな!俺も冒険者になったら兜にあれ付けたいんだ!」
タンジ少年はキラキラとした純粋な目を、頭蓋骨のメットに向けている。
「いや、やめたほうが良いと思うよ。心の底から」
「なんだよ、フウの姉ちゃんはロマンってのを分かってねぇなぁ」
あれを身に付けることがロマンだと言うのなら、僕はずっと分からないままで良いよ……
「じゃあ、教会の炊き出し手伝いに行くから。姉ちゃんまたな」
「タンジ少年、銅貨は?」
「さすがにこんなんで貰う訳にはいかねぇよ。また贔屓にしてくれよな」
行っちゃったね、助かったのは事実なんだけど。まぁまた今度案内して貰おうか。
タンジ少年を見送って、目の前の雑貨屋だという店に足を踏み入れる。
「あらいらっしゃい、お嬢ちゃんも冒険者なの?凄いわね若いのに。それで、何が欲しいの?」
なんか…普通の雑貨屋だな。怪しいお爺さんでも出てくるのかと思ったら、店主も普通のおばさんだし。変なのは店構えだけなのかな。
「肉切り包丁と、丈夫な紐。魔力回復薬10本と、針金、それからトラバサミはあるかい?」
「あるわよ。丈夫な紐ってのはこのぐらいで良いのかしら?」
うーん、太さは良いけど1メートルくらいだと短いかなぁ。
「もう少し長いのが良いかな。あぁそれが丁度良さそうだ」
「はい、じゃあお会計は銀貨1枚と銅貨5枚、だけどちょっとおまけしちゃうわ。銀貨1枚で良いわよ」
「本当かい?それはありがとね。はい銀貨1枚」
「確かに受けとりましたと。お嬢ちゃん冒険者でしょ?応援してるわ。また来てね」
必要な物を買い揃え、街を出る。そして僕は例の吸血魔族が潜む集落跡、その近くの森を訪れていた。
やっぱりね。集落の周りを囲ってるオーク以外に、この辺りの森の中を巡回しているオークもいる。
木の上からオークを見下ろし、息を潜めた。
集落はすぐ側、大きな音は立てられないね。
オークが木の真下を通った瞬間、飛び降りてその肩に跨るように乗る。そしてオークの口を手で塞ぎ、首にナイフを突き立てた。
「ングゥ、グゥ……」
首の頸椎を貫かれても即死しないとか、すごい生命力だね。
オークの首に突き立てたナイフを見ると、大きく刃が欠けている
あーあ、皮も固いせいで首を掻き切るのにナイフ1つダメにしちゃったよ。これ特注だから高かったし、丁寧に手入れしてたんだけどなぁ。
何でサイレンサーは持って来れなかったんだろう。銃のメンテナンスした時に外して、机の上に置いておいたのがいけなかったのかなぁ。
オークの死体を、手に入れたばかりの収納袋に仕舞う。
凄いな魔道具ってやつは。どう考えても入る大きさじゃなかったのに、するりと収まったよ。
欲しかった腐葉土も手に入れたし、次ここに来るのは暗殺決行の時だね。
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