秋乃は立哉を笑わせたい 第25笑

如月 仁成

予告編 メイクの日


 ~ 五月九日(月) メイクの日 ~


 パパ! ねえパパ!


 困ったね。パパに試練を与えないでくれよ。


 しれん?


 急にピエロメイクで現れた凜々花ちゃんを見て笑うべきなのかな? 褒めるべきなのかな?


 あんな? 凜々花の入った部活な? メイクの上手さも求められるらしくて。


 だったら褒めるべきだろうね、上手だよ。でもサーカス部なんてあるんだね。


 チアだよ?


 まさか謝るべきだとは思わなかったな、パパ。


 結構いい感じに顔面塗れたんだけどな? あと一歩、十五パーほどもの足りない感じでさ。


 その十五パーは視覚と嗅覚のために塗らずにいようね。


 どうやら凜々花、メイクの才能には恵まれてたんだけど、ちっとばかし経験が足りなくて。


 足りてないのが経験かどうか、もうちょっと腰を据えて考えてみようか。


 とりあえずパパ、メイク教えてくんね?


 残念だけど、パパが得意なのは頭頂部のメイクだけだね。


 じゃあ顔面のメイクは誰に教わればいい?


 ママにオンラインで聞けばいいんじゃないのかな。


 その結果が、この八十五点メイク。


 ママ、携帯の向こうで楽しそうに笑ってたでしょ。


 途中からカメラとマイクがオフだった。


 じゃあ誰にお鉢をまわしたものか……。


 パパもダメなら、おにいに聞いてこようかな!


 …………うん。いいんじゃないかな。



 そんな会話が下から聞こえて来たから。

 俺は勉強の手を休めて。


 マンドリルの顔の配色を確認しておいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る