この気持ちは恋じゃない
佐辺なる
プロローグ
4月、桜が満開に咲いている並木道。
笑い合う子たちを横目に高橋ななは思う。
(もう話しかけてる。わたしもだれかに声をかけれるかな?)
そう、今日は入学式だ。
中学一年生、環境が大きく変わるこの日を楽しい気持ちだけで迎えられる人はどれくらいいるのだろう?
わたしは自分で言うのはなんだが、極度の人見知りで緊張しやすいと自覚している。小学生の頃もこの性格が災いしていわゆる"ぼっち"というやつだった。
いつも机で本ばかり読んでいた。クラスの皆が運動場に行くのを横目に羨ましがっていたものだ。
「まーた本読んでる!誘ってみる?」
「えー、いつも私たちが騒いでるの退屈そうに見てるもんあの子。」
「そっか、そうだね!きっと1人でいるのが好きなのね!行こっ、邪魔しちゃ悪いもんね。」
この時わたしがなんて思っていたかなんてわかるはずない。言葉にしてこなかった自分のせいだ。
(退屈そうじゃないんだよ。わたしも本当はみんなと外でたくさん遊びたい。)
こんな自分をよくわかっている。だから、中学に入ったからなんだと言うのだ。
何も変わらない、自分が変わる気がないのだから、、。
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