第10話 ばかばかしい。

逢いたい。


君に。


泣き腫らしたわたしの瞳は、

君の心の奥に別れの言葉が見え隠れしているのを知っていた。

何度も言いかけては言葉を飲んでいる君。

なのに聞きたくない君の口癖。

「大丈夫。何でもない」そんな言葉

いらなかった。


「必要だ」って言って欲しかった。


君の優しさって突然消える事か。そう君はもう苦しまなくて済むもの。


わたしもきっとそう。


ああ……それでも掻き集めてしまう君との日々。


見えなくなる

聞こえなくな

声が出なくなる

どう藻搔いても足掻いても

終わっていった。


もっと

もっと

もっと何! 

ああ~嫌だこの思考


部屋の明かりを付けてみても何も見えやしない。

空気は冷たく全てが素知らぬ顔している。

自分が何処に座っていたかも思い出せない。


「…………」


震えが止まらない。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る