【SWITCH】

asato

プロローグ

「ねぇねぇ、まだ?」


鍵穴に顔をくっつけたままそういう女の子に、少年が返事を返す。


「きっともうすぐさ、ニィナ」


「むぅぅ…」


むくれて頬を膨らませたニィナの横顔に、少年は微笑みかける。


「うふふっ、レイチは優しいわね」


さっきから5分おきに繰り返すニィナとレイチのやり取りを見ていたライラがそういうと、ニィナが声を上げた。


「あっ!」


まばゆい光が鍵穴から差し込み、ニィナの顔を照らした瞬間、扉が開いた。


「シアン!おかえり!どうだった!?」


扉から出てきたシアンと呼ばれた人物のその表情は曇っている。


「くっ…やはり…このままでは…」


「そんなの…ニィナ、やだ!」


レイチは怯えるニィナを抱き寄せながら、シアンを見上げた。


「シアン、何とかしないと…」


「んー…あれ…しかないか…」


シアンはニィナの頭を撫でた後、部屋の奥の戸棚から青い液体の入った小瓶を取り出し、ライラに目配せした。


「そうね…仕方ないわ…」


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