第12話 情報収集
「ちょっと待て」
街に入ろうとすると門番に止められた。
「何でしょう?」
「ソイツはなんだ?」
「あぁ、俺がテイムした魔物で蘇芳ってんだ。理性があるから暴れたりはしないぜ?」
「魔物に理性がある?」
蘇芳がペコッと頭を下げると門番が驚いた。
「おぉ。確かに……頭を下げる魔物など聞いたことがない。ただし! なんかソイツが問題を起こしたらお前が責任を取るんだぞ?」
「もちろん。そのつもりです」
「ふんっ。なら通っていい」
門を通ると活気のある通りであった。
皆が避けて通る。
ギルドの場所が分かんねぇんだよなぁ。
聞いてみるかな。
屋台のおじさんに聞いてみる。
「すみません!」
「ひぃぃ! な、なんでしょう?」
「驚かせてすみません! ギルドって何処でしょうか?」
「こ、この通りの、お、奥に行くとあるよ」
「ありがとうございます!」
めっちゃ恐がられたなぁ。
蘇芳の迫力が凄いからだろうなぁ。
通りの奥の方に行く。
ギルドの太陽を模したマークが目印だ。
「おっ! ここだ」
中に入ると人で溢れていた。
ここの領もギルドには沢山人がいるなぁ。
後に続いて入ってきた蘇芳と一緒に空いてるカウンターに向かう。
「すみません! ちょっと聞きたいことがあって来たんですけど……」
「はい! いいですけど、解放者ですか?」
少し小柄な女の人で、肩まである緑色の髪の毛を揺らしながら笑顔で話してくれた。
「あっ、はい! プルーフ!」
「はい! 確かに解放者のようですね! どういったご要件ですか?」
「あのー、大規模なダンジョンってどの辺にありますか?」
その質問が聞こえたのだろう。
周りの聞こえた人達が一斉にこちらを向いた。
「大規模ダンジョンに潜るつもりですか?」
「はい。挑戦してみようと思ってきたんですけど……無理そうなら引き返しますし」
「そうですねぇ。確かにダンジョンに潜るのにランクは関係ありません。しかし、目安にはしているんですよ。Eランクでは無理ですよ?」
「場所を教えて貰えれば偵察だけでもしてくるんで……」
「解放者の無謀な挑戦を止めることも受付嬢としての務めだと思っています! なので教えられません!」
小さいホッペを少し膨らませながら情報は教えないと言う。
「そうですか。困りましたね……」
受付嬢も腕を組みながら教えないぞという意思表示をしているのが可愛らしい。
大きいお胸が余計せり上がっている。
「なぁ、兄ちゃん、大規模ダンジョンはやめといた方がいいぜ? あそこはアンデッドの巣窟だ。ちょっとやそっとでは攻略できんぞ。風香ちゃんも頑固なとこあるし、教えてくれないだろう」
「そうですか? 貴方は場所知ってるんですね?」
「あぁ、知ってはいるが……風香ちゃんが話さないのに話す訳にも行かねぇのよ」
その話しかけてくれた人をジィっと威圧してみている風香さん。
「わかりました。どうしたら、教えてくれます?」
「そうですねぇ。大規模ダンジョンに潜るなら、最低Cランクは欲しいです!」
「Cですか……少し時間が掛かりそうですね」
「焦っちゃダメですよ!? しっかりと強くなってからアタックしないといけません! 大体、なんでEランクなのに大規模ダンジョンを潜ろうとするんですか? まだランクが低い内は……」
その後30分にも及ぶ説教が行われた。
「分かりましたか?」
「はい。分かりました」
「なら、宜しいです!」
窓口を後にし、出口に向かっていると、先程の男がやってきた。
「よぉ。災難だったな? 来てそうそう洗礼を受けることになるとわ。俺は、鮫島 海斗(さめじま かいと)ってんだ。よろしく」
「真仲 翔真だ。よろしく」
手を出しあって握手を交わす。
「こっちは蘇芳。俺のテイムした魔物だ」
ペコッと蘇芳が頭を下げる。
「なんと、言葉が理解出来ているのか?」
「テイマーの能力です」
「それは凄い。しかも理性があるということは相当な魔物なんだろうな」
「正直に言うとコイツのおかげで強くなったようなもんで……」
「テイマーとはそういう職業だろう? しかし、そんなに強力な魔物をテイムできるなんて知らなかった。テイマーとか弱い魔物しかテイム出来ないものかと思ってたんだが……」
「俺は、たまたま蘇芳が懐いてくれたんで、テイム出来ました」
「そうか。念の為忠告させてくれ。解放者の中にはテイマーは雑魚だと言って奴隷のように扱う奴がいる。気をつけろ」
「忠告ありがとうございます。でも、絡まれ慣れてるんで大丈夫です。それに、俺そんなに弱くないんで」
ニコッと笑顔を見せて立ち去る。
良い人だったな。
あぁいう人は俺みたいなのを放っては置けないんだろうな。
有り難い。
ランクをあげるにはダンジョンを攻略するしかないな。
こりゃあ、大規模ダンジョン攻略は結構時間がかかるぞ。
とりあえず片っ端から攻略するかなぁ。
そんなことを考えて歩いていると、後ろから数名ついてきているようだ。
「蘇芳、武器を出す準備しておいてくれ」
『了解』
一旦町を出る。
少し林の方に向かって歩くと。
「おい! お前! 止まれ!」
立ち止まって振り返る。
「なんだ?」
「ヘッヘッヘッ。お前テイマー何だってな?」
「あぁ。そうだ」
「おい! 雑魚が口の利き方には気をつけろ!」
「お前みたいなやつに謙るつもりは無い」
「何だと!? 雑魚が! 死ね!」
剣を振り下ろしてくるが、遅い。
なんなくサイドステップで避ける。
『翔真、武器いる?』
「いや、いらないわ。使う必要も無い」
『そっか。頑張れ!』
後ろで応援に回る蘇芳。
しかし、8人に囲まれている為、蘇芳も戦うことになりそうであった。
「膝まづいて許して下さいって言ったら奴隷として使ってやるよ」
まだそんなことを言うのかコイツは。
「お前に奴隷として使われるくらいなら死を選ぶわ。気持ち悪い。お前みたいなゲスには吐き気がする」
「あぁ!?」
「いいから、かかって来いよ」
「ざこがぁぁぁ!」
剣を振り下ろしてくるが遅すぎる。
最小限で躱し。
バギャャャンッ
横から蹴りを入れる。
すると、吹き飛んで行ってしまった。
「ありゃ? 力入りすぎたかな?」
次々と男どもがそれぞれの武器で襲いかかってくる。
全て最小限で避ける。
小突く程度の力で腹を殴って気絶させる。
後ろからは音がしない。
振り返ると呆然と立ち尽くしている蘇芳。
周りには男達が倒れていた。
「蘇芳? どうした?」
『弱すぎてビックリした』
「コイツらみたいなのはそんなもんだろ。これに懲りたら大人しくなるんじゃね?」
『懲りるといいね』
「うわー。また来たらやだなぁ」
最初に吹き飛ばした男の元へ行く。
パシパシ頬を叩く。
「おーい。起きろー」
パシッ! パシッ!
「起きろってー」
パシッ! パシッ!
「起きねぇなぁ」
バァァァシッ!
「!? なんだ!?」
「おい! お前。また俺達に関わってみろ? こんなもんじゃ済まさねぇからな。次関わってきたら動けないねぇようにするから覚悟しろ?」
「は、はひぃぃぃぃ!」
身を翻して町に逃げていく男。
仲間を置いていくあたり、やはりゲスである。
「コイツらはほっといてダンジョン行くか」
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