第2話 寝る時は外してください
まだ母親と共に寝ていた頃、私は眠りが浅かったのか夜中に起き出すことが多かった。
夜は別に怖くなかった。何より寝ていても母親がそばに居るため、いつも安心して眠っていた。
むしろ寝ている親を起こさないように、夜中にトイレで起きた時もそっと抜け出して静かに戻るのが常であった。
そうして起き出した時、寝床のそばの机の上に3〜4個の球体がよく置いてあった。
それがあること自体に疑問はなく、ただ寝る前と起きた後には無いそれがなんなのかという興味はあった。しかし起き出したと言っても眠い事に変わりはなく、確かめる事をせずに寝直していた。
ある日、ついに眠気よりも興味が勝った。私はその球体をまじまじと観察した。薄暗い中で見えにくかったので、より近づいて、手に取って観察した。
それらは眼球に見えた。
「ああ、どうやら母は寝る時には目玉を外しているんだなぁ」と、私は納得をして、そのまま眠りについた。
大人になった私は幼い頃のこの記憶を残しており、今更「いや、眼球外して寝るってどういうことだ」と認識した。
そこで母親に当時の思い出を語ったところ、母の片目が義眼であると聞かされた。
20を超えて初めて聞かされたその話は、衝撃と共に笑い話に昇華された。
何故眼球が3つも4つもあったのかは、聞けずにいる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます