二十歳の誕生日(父親になって20年ということ…)

@J2130

第1話

「パパへ

 パパになって20歳おめでとう!

 そして20年大切に育ててくれてありがとう!


 パパはいつも面白くて、楽しくて家族の笑顔の8割以上パパが作り上げている気がします。


 高校のときは、毎日送ってくれてそのおかげで3年間、無事通えて、どんなに学校がイヤだなって思っても不登校にならなかったのはパパのおかげです!

 パパが毎日送ってくれるだけじゃなくて、りほが好きな曲とか元気がでる曲をかけてくれて応援してくれたから学校にもいけて良い友達もできて最後はこの高校でよかったって思えるようになりました!


 今もヨガとか駅とか晩くなったときはいつも車で来てくれて、友達からも私からも「いいお父さんだね」って思われているし、思いまくってます!

 それだけじゃなくてママとりほのことを最優先に考えてくれて、ホントいつもありがとう!


 趣味とか家族思いなところとか、パパみたいな人じゃないと結婚できなくなったよ!

 ユーモアもありまくりで面白いからウチは楽しい家族だと思います!

 だからりほは家族と沢山すごしたくて家族優先になるんだ!


 パパと2人で話すの好きだから今度2人でお出かけしたいな!


           りほ 」


 そうか、父親になって20年なんだね…。

 20年前、5月5日が予定日でした。

 医師から

「まあ、男の子の日でもあるけれど、子供の日だから…」

 と意味深なことを言われて、妻は喜んでました。

 性別をあえて訊かなかったのですが、ひょっとすると女の子なのかな…、うれしいな…と妻は言ってましたね。


 産まれたのは5月7日の早朝でした。

 難産でした。


 別の作品にも書いたのですが、子宮内にいる子供の心拍音がモニターされ聞こえるのですね。

 でも時々角度なのか体制なのか途切れます。

 怖かったです。

 生涯で一番怖かったです。

「緊急の帝王切開になります」

 とのことでしたが、もうひとりの医師の到着を待ってからになり長かったですね。


 待合室では座っていられず、祈ってました。

「自分の寿命を全部あげてもいいから二人を生かせたい」ってずっと思っていました。

 男ってなにもできないのかな…と不甲斐なかったですね。


「女の子ですよ…」

 目の前をベッドに乗せられた娘が運ばれていきました。

 ちいさいちいさい赤ちゃんでした。

 動いていました。


 その後二人の医師がすぐに来ました。

「へその緒が首にまきついていました」


 僕はちょっとね、実は怒ってました。

 心配事もあったし…。

「さきほどは『産道が開かないので帰ってください』って言われました」

 二人の医師のうちの後ろに立つ若い人に向かって言いました。


 二人は何もいわず申し訳なさそうな顔になりました。

 帰ってたら大変だった。

 いろいろあるからね、でもちょっと怒っていたので。

 今はそんなことは絶対に言いません。


「後遺症とかないですか…」

 赤ちゃんは出るに出られず、苦しくて出した便を少し飲んだとも聞きました。

 一番の心配事でした。


「見た感じは大丈夫です。詳しくは小児科でチェックしますから、見た感じは大丈夫です」

 その医師はその後妻の病室に頻繁に来てくれたそうだ。

 悪い人ではなかったんですね。


 産まれるまでは産婦人科、産まれてからは小児科になると初めて知りました。


 翌日、眼鏡をかけた小児科の先生にうかがいました。

「すべてチェックしたけれど、なんの異常もなかったですよ」

 と軽く言われました。


 やっと僕はほっとできました。

 娘の顔を安心して見れました。

 娘は保育器に入れられていましたね。


「ちっちゃいな…、自分の娘なんだな…」

 というのが印象でしたね。


 お腹を切った妻は非常に痛かったそうですが、母乳を与えに日に何度か赤ちゃん達がいる部屋に歩いていったそうです。


「すっごくお腹が痛いんだけれど、赤ちゃん、自分のママだけ来てくれないってね、泣いているんじゃないか…そんなふうに思ったらかわいそうで…」


 頑張って通ったそうです。

 無事保育器から出たのは出産後何日くらいたってからかな…。

 それからは妻といっしょの病室に寝ていました。


 あれから20年ということです。

 長かったようで短くて…。


 手紙をもらいましたが、泣きそうというか本当は泣きたかったですが、こんな僕でも恥ずかしいのでがまんしました。


 1才のときに入院して、さらに小学4年生のときも入院して…。


 二十歳の誕生日を迎えた娘の父親というのはこんな感じなんだな…、と感慨にふけていました。

 娘が二十歳、うれしいのとあと10年もいっしょに暮せないのかな…というさびしさとね。


 いつまでもいられても困るけれど。


 とりあえず、薬学部の大学生である娘は毎日、毎日、いろいろとここで書いている私のヨットにあけくれた学生時代と正反対に勉強しています。

 

 おかげさまで健康です、ちょっと具合が悪いと薬がすぐに与えられます。


 お年頃なので体重を気にしています。


 こんな世の中の状態ですが、学生時代を楽しんでもらいたいですね、健康に気をつけて。


 無理しないでほしいな…、頑張らないで大丈夫だから…。


       了

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