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「さて……と。それで、今日から本格的に勉強を始めようと思うんだけど」
私はそう言いつつジッとまだ少し寝ぼけ気味のシリウスの顔を見る。
「……何だよ」
「あなたが昨日私に『闇魔法』を見せなかった理由が分かってね」
そう言うと、シリウスはスッと顔をそらす。
「……そうかよ」
「ええ。そもそも、私は『四大魔法』の勉強はしていたけど『その他』の魔法はむしろ全然何もしてこなかったから」
「その言い方だと『四大魔法』は完璧って言っている様に聞こえるぞ」
シリウスはニヤリと悪そうな顔をしているけれど、私は「ふふ」と笑う。
「まさか。正直『魔法』程奥深いモノはないと思っているわ。どれだけ勉強しても全然足りない」
――全くと言っていいほどに。
「……」
「まぁ、そもそもな話。私の周りに『その他』に分類される魔法を使う人がいなかったっていうのもあるんだけどね」
「そうなのか?」
私は何気なく言ったつもりだったけれど、シリウスにとってはそれが驚きだったらしい。
――まぁ、基本的に『その他』の魔法について自分から言う人は珍しいから。
主人公については「ただ前世でゲームをして知っていたから」というだけである。
「あなたは意外に思うかも知れないけれどね」
「……」
笑顔で答えると、シリウスはまたも顔を背けてしまった。
「で?」
「ん? ああ、それで借りた本をちょっと見て知ったんだけど……そもそも『闇魔法』ってサポート系の魔法だったのね」
「……」
そう言うと、シリウスは小さく「ああ」と答えた。
――という事は、主人公と同じ系統って事ね。
「ただ」
「?」
「基本的に『闇魔法』は相手から『吸収』いや『奪う』事が多いって感じだな」
シリウスは苦笑いを見せながら答えるけれど、私は今ひとつピンとこない。
「簡単に言うと、俺の『闇魔法』は相手から力を『奪って』その力を『四大魔法』に増強させて使う事が多い。だから……」
「そもそも『四大魔法』が使えないと『闇魔法』の意味がない……と」
「……ああ」
「なるほどね」
確か、主人公の『光魔法』もサポート系統だったけれど、それは『治療』や「主人公自身の魔素を使って味方の力を『増強』させる」と言うモノだった。
――それを考えると、確かに『闇』ね。
シリウスの言い方もそうだったけれど、借りた本のほとんどが『闇魔法』についてあまり良い書き方をしていなかった。
――まぁ『奪う』なんて書き方をすれば……そうね。
だからシリウスの『闇魔法』に対する印象も……多分「あまり良くないのだろう」と思った。
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