「睡蓮と」ヘンリック・イプセン(ノルウェー語)


 君よ、我の持て来しものを見よ、

 白き翼を持ちたる花を。

 静かなるせせらぎが上に浮かびて

 春に夢見しこの花を。


 此がいのちが欲しからば、

 此を君が胸に抱かれよ。

 その葉はうしろに隠したり、

 げに静かなるさざなみを。


 君よ、水の流れをこころせよ、

 そは夢見には危ふしなり。

 妖精は眠るるふりをして、

 睡蓮の上で遊びたり。


 君よ、胸を流れに委ねしものよ。

 そは夢見には危ふしなり。

 あな、我は知りたりけり、

 水底に妖精の潜みしを。






 ***

 原典:https://www.ibsen.uio.no/DIKT_Diktht%7CDiftMedEnVandlilje.xhtml?modus=enkeltdikt

 参照:https://fleursdumal.nl/mag/henrik-ibsen-with-a-water-lily

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