第三話
推理小説や推理ドラマなんかでよくあるだろ?クライマックスシーンで洋館の大広間みたいな所に生き残った奴等を集めて、探偵が犯人を当てるってのが。まさに今がそれだよ。で、この事件の犯人は俺だ。華麗でパーフェクトでアーティスティックなマーダー・ショーの真犯人は俺だよ。さぁ、探偵さん。犯人を暴いてみやがれ!!
「この事件の犯人は・・・・・・・・・あなたです!!」
「!?」
この馬鹿野郎、俺の隣にいる奴を指差しやがった。とんだ迷探偵だぜ。この呑気に鼻ほじくってる奴が犯人だって?笑っちまうぜ。今だって、自分が言われてるなんて気付きもせず鼻ほじくってやがる。点と線で描けるような面しやがってよ。おいおい早く気付いてやれよ。迷探偵さんの右腕がプルップルプルップル震えてんじゃねぇか。
「この事件の犯人は・・・・・・・・・あなたです!!」
「!?」
言い直したぞおい!って鼻糞を食ってる場合じゃないんじゃないの?お前が疑われてんだぞ?ほら、また迷探偵さんの右腕がプルップルプルップル震えてんじゃねぇか。
「!!」
あっ!気が付いた!って、酸っぱかったのかよ!酸っぱかったのかよ!どんな鼻糞だ!!
「この事件の犯人は・・・・・・・・・あなたです!!」
お前もお前で別の言い方があんだろ?回りもいちいちさも初めて聞いたかのようなリアクションしてんじゃねぇよ。鼻糞もういいんじゃねぇか?そんなに収穫出来るもんじゃねぇと思うぞ。迷探偵さんの左腕がプルップルプルップル震えてっぞ。
「!!」
あっ!気が付いた!って、頭が痛くなったのかよ!頭が痛くなったのかよ!どんだけキーンと冷えてんだ?その鼻糞は!お前の鼻の穴の中がすげーよ。
「あなたは、まず」
お前が鼻糞に夢中になってっから、迷探偵がついに無視して事件の全貌を話し始めちゃったぞ。
「最初の被害者でありますこの洋館のオーナー。彼は、事故死です!」
「!?」
待ておい!殺したぞ!俺は、ちゃんと殺したぞ!第一の殺人としてド派手に演出したぞ。ほら、この大広間にあるどデカイ絵画に貼り付けといたじゃねぇか。どんだけ不自然な事故死なんだよ!
「でも探偵さん?そうすると、あの手紙は、いったい何だったんですか?」
よし!メイドA。なかなかナイスな質問をした。あれは、第二の殺人への布石とも言える、渾身の犯行予告文だ。これから始まるマー
「ダイイングメッセージです。」
おい!!手紙二通にダイイングメッセージ書く奴がどこにいんだよ!つーかおめぇ事故死って言わなかったか?だからあれは、これから始まるマーダー・シ
「なるほど。」
なるほどじゃねぇよメイドA!何納得してんだよ!お前は、もういいや。こんな時に掃除してねぇでメイドBもなんか気の利いた質問をこの迷探偵にぶつけてやれ。
「他に汚れている所はございますか?」
あぁ、確かに気の利いた一言だよ。意味がちげーんだよ!!意味が!
「そして次に起き」
話し進めてんじゃねぇよ迷探偵!不思議だらけだろこの空間。
「すいません!」
おっ!?どうした?偶然この洋館にやって来た意味あり気でまったく事件と関連性がなかった中年男。
「トイレ行ってきていいでしょうか?」
済ましてこいよな!大事な話があるって呼ばれて来たんだろ?どんだけ緊張感無いんだよ!
「そう言えば主人もあの時トイレへ。そして主人は・・・・・・うっ。」
いいとこに話し持ってくじゃねぇか。泣くな!二人目の被害者の妻。
「トイレが詰まって大変だったあれか!」
そうだよ警部。あれこそが時間差殺人だよ。お前に解けるか?迷探偵!
「皆さんは、勘違いをしています。」
何!?こいつ解けたのか?そうだよ。お前らが二人目の被害者だと思ってる男は、実は、三人目の被害者なんだよ。あの水漏れは、発見を早めるための仕掛けだよ。腐っても探偵、か。
「あれは、彼が近年稀にみるどデカイうんこをしたせいです。」
「まさか!!」
まさか!!じゃねぇだろ警部。んなわけねぇだろ!見たろ?頭部を殴られてたろ?頭から血が流れてたろ?この探偵、単なる馬鹿じゃねぇのか?
「しかし、彼は、頭部を殴られ死んでいたぞ?」
そうだよ警部。あんたの言う通りだよ。
「あれは・・・・・・・・・。」
どうした迷探偵?言葉が詰まってるぞ?
「ゲフッ。」
ゲップかよ!
「びっくりしたのです。自分があまりにどデカイうんこをした事に。」
はぁ?何言ってやがるんだこいつ?
「そして、ズッコケてしまったのです。その時、タンクに頭をぶつけた。」
「なるほど。そして、その拍子にレバーが回り、うんこが詰まったわけですな?」
「その通りです警部。つまり、彼は殺されたのではなく、結果自殺したのです!」
なんで自殺なんだよ!何だ結果自殺ってよ!これこそ事故死じゃねぇか!って、俺が殺したんだよ!
「探偵さん?」
どうした盲目の少女?お前の父親が真の第二の被害者なんだよ。自分の父親についての質問かい?
「そのうんこは、どのくらいのどデカさなんでしょうか?」
どこに興味抱いてんだよ!
「このくらいです。」
説明してんじゃねぇよ迷探偵!両手で大きさ表現したって、こいつには見えねぇんだよ。
「私は、これくらいだと思います。」
見えてんだろ!お前、見えてんだろ!目、見えてんだろ!
「皆さん!いい加減にして下さい!!」
そうだ怒れ!!怒るんだ妻!自分の旦那が馬鹿にされてるんだぞ!
「わたくしの主人です!これぐらいのうんこは、するはずです!」
おい!!何を張り合ってんだよ!!だいたいさっきっからお前ら、うんこ、うんこってうるせぇよ!いったい何の集まりだこれは!そんな話をするために集まったのか?
「僕のは、これくらい!」
聞いてねぇよ鼻糞野郎!!見せんじゃねぇよ!
「まぁまぁ皆さん。うんこの話は、これぐらいにしといて。」
てめぇが言い出しっぺだろうが!くそ迷探偵!
「その後二人殺されて、最後に殺害されたのが、この洋館の前の持ち主です。」
何省略しちゃってんだよ!何か、なかったみたいになってねぇか?面倒臭いのか?ちゃんと謎解きしろよ!四人目の被害者の二重密室殺人の謎解きしろよ!あれはなぁ
「彼女は、寿命です!」
元も子もねぇ事言ってんじゃねぇよ!確かにベッドで眠るように死んでたけどよ。毒だよ毒!あのばばぁは、毒殺してやったんだよ。この迷探偵、思い付きで喋ってんじゃねぇか?
「つまりです。この洋館で起きた数々の連続した死は、殺人ではないのです。全てが偶然に引き起こされたものだったのです!」
おいこら!何をもっともらしく力説してんだ?勝手に幕を下ろそうとしてんじゃねぇよ!だったら何で最初に鼻糞野郎を犯人扱いしたんだよ!
「よかった。」
待てメイドA。納得してんじゃねぇよ!
「一件落着ですな。」
一件落着ですな。じゃねぇよ警部!ちょっと待てよ!こいつは、省略しやがったが三人目の被害者、本当は、二人目の被害者なんだけどな。そいつは、バラバラに体を切断されてたんだぞ?誰がどう見たって殺人だろ!
「ホッとしました。」
待て妻!お前の旦那、うんこで自殺した事にされてんだぞ?いいのか?あんたそれでいいのか?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
今だに、うんこの大きさを両手で表現しながら考えてんじゃねぇよ少女!
「もう、トイレに行ってきてもいいでしょうか?」
行け!お前は行ってこい!で、戻ってくんな!
「他に汚れている所は、ございますか?」
してろ!お前は、ずーっとお掃除やってろメイドB!このひろーい洋館の隅々までやってろ!で、てめぇは、そうやって一生鼻糞をほじって自給自足してろ!
「それでは皆さん。」
待てよおい!帰るんじゃないだろうな?
「帰りましょうか。」
待て迷探偵!待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
「待て!!」
「ん?どうしました?この洋館のオーナーの息子さん。」
「俺だよ!」
「何がですか?」
「五人を殺したのは、この俺だよ!!」
「何を言い出すのです。」
「だから!この洋館で起きた連続殺人の真犯人は、俺だって事だよ!分かったか迷探偵!!」
「そのお言葉頂戴しましたよ。」
「!?」
「あなたは、とてもプライドの高い人。無視される事がなによりもの屈辱。プライドが傷付けられる。だから、自分から自供して頂くため、ここにいる皆さんにお芝居を演じてもらったのです!」
「何だって!?」
「以上です警部。」
「いやぁ、いつもながらお見事だったよ。」
「偶然ですよ。単なる偶然です。皆さんもご協力ありがとうございました。」
「・・・・・・やられた・・・・・・。」
第三話
「名探偵」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます