エクール王国の婚約事情
モン・ブラウン
プロローグ
エクール王国に住んでいる皇女は現在2人いる。
第一にはエクレオ皇女。第二の皇女はエレナ皇女という。その第一皇女であるエクレオ姫は常に悩んでいた。
その悩み事とは?
「……どうすれば、あの憎き男と婚約破棄できるのでしょうか?」
それは、自分の婚約者であるウォルフ国からやってきた獣人属の男のことだった。
「……うーん」
エクレオ姫は、毎日のように頭を抱えていた。
そんな彼女に声を掛けたのは、エレナだった。
「あら?お姉さま。どうかなさいましたか?」
「あぁ、エレナちゃん!聞いてくださいな!」
「ええ、何なりと聞きますわよ?」
「実はね……」
エクレオ姫は今までの経緯を話した。
「ふふっ、そうでしたの。お姉さまのお気持ちはよく分かりましたわ。ても、安心してくださいませ」
「……どういうことかしら?」
「だってお姉さまには私がおりますもの」
「まぁ、ありがとう。やっぱりあなたがいてくれれば心強いですわ」
こうしてエクレオ姫はエレナに慰められて元気を取り戻したのであった。
しかし、この話はこれで終わりではなかったのだ。
数日後……
「うぅ〜」
「今度はどうしたのですか?お姉さま?また何かあったのですか?」
「それがねぇ……もう我慢できないんですのぉ!!」
「あら?またお姉さまの婚約者様は何かをやらかしたんですの?」
「あの男は私のことをバカにしているのですわ!!」
婚約破棄をしたいと思っていても今はこの国に滞在している客人だ。
こちらとしては粗相がないようにしているというのにあの男ときたら…!
「威圧的で愛想はないし、わたくしと目が合うと鼻で笑うし、もう耐えられないんですの!」
「まぁ、それは…」
エレナは驚き姉を宥めようとするがエクレオ姫の方が口を開くのが早く
「それでわたくし決めましたの!」
「なにを決めたんですの?」
「ふふっ。それはエレナちゃんでも言えないわ」
エクレオ姫は楽しそうにしていて、何度エレナが聞いても教えてくれなかった。
すっかり機嫌がよくなった姉にそれ以降は追求しないでいたエレナだが、後にもっと聞いておくべきだったと後悔することになる。
それはエクレオ姫の話を聞いてから2週間後の出来事だった。
「エレナ!エクレオは見なかったか!?」
「?いえ?今日は見ていませんわ」
「…そうか」
「お父様なにかあったんですの?」
「ビックリしないできいてくれるか?」
「ええ」
「エクレオが家出してしまったんじゃ」
エレナはビックリする事ではあったが、お姉さまが何かしようとしていたのはわかっていたので、そんなに動揺はしなかった。
「あら?行き先もわからないのですか?」
「ああ、部屋に書き置きがあっただけじゃ。目撃した者もいなくて…エレナが最後の砦だったんじゃ」
エクレオ皇女は妹のエレナに何でも相談していたからこそ知っていると思っていたそうだ。
推測はしていたがこんなに急だとは思わなかったので、エレナも知らないことだ。
国王であるお父様はガックリと肩を落とし座り込んでしまった。
しばらくその体制で動かず、エレナは心配になって手を手を伸ばした時、か細い声が聞こえた。
耳を済ませてみるとお父様がエレナの事を呼んでおり
「…エレナや…頼みがあるんだが聞いてはくれないか?」
と言っているように聞こえた。
「…なんでしょうか?」
なんだろう?お姉様を探してきてというお願いかしら?
「エクレオが見つかるまで、エクレオの婚約者の彼の接待をお願いしたいのだが…?」
「ええ、構いませんが…彼に事情は…?」
「体調不良ということでふせていきたい。エレナには迷惑はかけるがエクレオが見つかるまでよろしく頼んだよ」
「かしこまりました」
たぶんお姉さまが居なくなった元凶である彼に接待しないといけないとなると億劫だけれど、お姉さまの話をきいていて興味もあったので軽い気持ちでエレナは引き受けた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます