第三話・閑話 フレニカの過去・下
「…フレイアが任務に行ってから、他の団員は帰っているのに彼女だけ帰っていなかったんだ。それから私は彼女を探したよ。危険な任務だったし、最悪のことも考えたさ。ただ、調べている内に彼女が既に帰ってきていた事が分かった。」
「それで、どうなったのですか…?」
「…彼女は殉職した事にされ、城の牢屋に入れられて居たよ。そして、秘密裏に処刑される手筈だったらしい…」
「そんな…そんな事ってあんまりです…」
フレニカの過去にそんな事があったなんて…彼女が自分の事を話したがらないのは、過去の身分や生きた時代が違うからなのですね。普通は生きている筈無いですし…でも、エクレシア様の関係者なら延命することも…
…彼女は、少しでも異質に見られて、また裏切られてしまうのを恐れているのでしょうか…確かに、彼女はいつも飄々とした態度をとっていますがいつも、何処か距離を置いている感じがしました…
「それを知った私はね、裏で色々動いて彼女の処刑を止めようとした…でも、既に止めるには遅かったよ。関係者が余りに多すぎて処刑の判断を押し切られた。だから無理やりフレイアを連れ去ったんだ…」
「無理やり…では、その後エクレシア様は…」
「そうだね。当時の私は魔法の腕がそこまで良く無かったからね…直ぐにバレて国を追われたよ。話を戻すが、連れ去った後に私は彼女に封印を施したんだ。魔力を全て使って、最低でも国が無くなるまで解けない強力な物をね。ずっと利用されていた彼女に、普通の暮らしを知ってもらいたくてね。」
なるほど…フレニカが今生きているのはエクレシア様に封印されていたからなのですね。エクレシア様はフレニカの事をここまで思っているとは。ですが、なにやら話しているエクレシア様に違和感があった様な気が…気のせいでしょうか。
というか、エクレシア様は先程、当時の魔法の腕はあまり良く無かったと言っていました。それに、魔力を使い切って封印したとも…つまり、延命する為の魔法は使えなかったのでは…?
「どうだったかな、エレネス嬢。聞きたいことは聞けたかい?」
「はい、ありがとうございました。ですが、最後にもう一つよろしいでしょうか?」
「なんだい。何か疑問があったのかな?」
「はい。あの、当時フレニカには延命魔法を使ったのでしょうか?」
「………そうだね。当時は使う余力が無かった、それが答えだよ。」
…!やはり、フレニカに魔法を使う事が出来なかったのですね…では、何故今フレニカは生きているのでしょうか…?
延命する為の魔法も無く、人間の身で数百年も封印されて…それに、彼女の外見は若い女性です。つまり、彼女自身の力ということですか?そこまで考えてエクレシア様の方を見ると…
「エレネス嬢、先に言っておくと、私はそれを答えられない。」
そう、釘を刺されてしまいました。
エクレシア様が語れないフレニカの過去…フレニカには、あとどれだけの謎がかくされているのでしょうか…
「おっと、もうすぐ着くみたいだよ。」
エクレシア様にそう言われて馬車の外を見ると、そこにはとても大きな城壁があり、言葉では表せない程美しい輝きを誇っている…シルファール城が見えてきました。
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