遊園地デート③

私が選んだのは二人用の乗り物に乗って、幻想的な空間を眺めていくアトラクション。


なんでこれを選んだかというと、さっき乗ったジェットコースターはたしかに楽しかったけどさすがに連続して乗るのはきついというか…。


一旦休憩したかった私。


でも、ベンチで休憩するのは一之瀬さんを退屈させちゃうの悪いし。


そう思った私は、パンフレットと睨めっこした私はここなら休憩しつつ、一之瀬さんも楽しめるかなと思いつき選んだのだ。


というわけで順番待ちをして、さっそく二人で乗り込むのだけど…。


「ね、ねぇ?一之瀬さん…?」と私は恐る恐る一之瀬さんに尋ねる。


「んー?どうしたのお姉さん?」と不思議そうな顔をしている一之瀬さん。


「あ、あのね…?ち、近くない…?」と今度はちゃんと尋ねる。


「そうかなー?これが普通だと思うよー?」と嬉しそうな顔をして一之瀬さんが答える。


「いやいやいや!近いよね!?この乗り物そんな狭くないよ!?」と慌てる私。


そう。


さっきから一之瀬さんが私の腕を抱きしめ、肩に頭を乗せているのだ。


普段から一之瀬さんに抱きつかれている私でも、さすがに外でこんなことになっていると動揺してしまう。


「もー!お姉さん!そんなこと気にしてないで集中しなさい!」となぜか怒られた私。


「は、はい…。」とドキドキしながら幻想的な空間を楽しむことになった。


それから、少しして。


「お姉さん。キレイだねぇ。」という一之瀬さん。


一之瀬さんの言う通りすごく綺麗で。


ドキドキしていたことも忘れて「うん。ほんと綺麗。」と感想を言う私。


「はぁー。すごくかわいいなぁ。」という一之瀬さん。


私は内心、ん?かわいい?と疑問に思いながらも眺めることにした。


すると「ほんと大好きだなぁ。」となんだかうっとりしているような声で言った一之瀬さん。


すごく気に入ってくれたのかなと思った私だったのだけど。


なんだか視線を感じる気がして一之瀬さんの方を見ると、ジッと私のことを見ていて。


「横顔も正面もかわいくて綺麗とかずるいよぉ。お姉さん大好きだよぉ。」とやっぱりうっとりしている一之瀬さん。


そんな一之瀬さんに「も、もしかしてさっきから言ってた感想って…。」と聞いてみると「うん。お姉さんのことだよぉ。えへへ。」と照れている表情の一之瀬さん。


「わ、私じゃなくちゃんと他のとこ見なさい!」と照れながら注意するも「えー!無理だよー!こんなに近くに大好きなお姉さんがいるのに、お姉さん以外を見るなんて無理!お姉さんしか見ない!」と断言されてしまう私。


こうなった一之瀬さんを説得するのは無理だと思った私は諦めることに。


そして、それからも続く一之瀬さんの言葉一つ一つに、さっきのジェットコースターとは違った意味でドキドキすることとなった私は、一之瀬さんが喜んでくれてるならいいかなと思いながらも、次はもっと別のアトラクションを選ばないと。と心に決めるのであった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私の新生活は同居人♀付きでした たるたるたーる @tarutaru_ta-ru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ