第5話「共同戦線」
Side 熊谷 トシゾウ
対リベリアス帝国戦闘部隊の隊員は戦場になった学校の運動場にテントを建て、敷地を間借りする形で対策を練っていた。
上の連中はキングスセイバーの捕獲だの何だのうるさいが基本無視である。
「これが私達、戦闘部隊の答えよ」
テント内に設立されたスクリーン。
そこにはパワードスーツの姿が映し出された。
スクリーン前にはパワードスーツの開発者である女性科学者、吉原 マユミが言う。
長い黒髪でメガネ、母性溢れる大人の美女と言った感じだ。
「他にも平行して様々な装備が作られているわ」
と、マユミが言うが隊員の中から「やぶ蛇ですけど、それって諸外国との軋轢とか大丈夫なんですか?」と尋ねる。
「皮肉にもリベリアス帝国は世界中に部隊を展開してたから――開発競争に乗り遅れるワケにもいかないのよ」
マユミが溜息を吐いてそう言う。
平和のため裏ではそう言う政治が絡んでいるのだ。
「だけど円盤とか相手の巨大兵器とかはどうするんですか?」
と、隊員の中から声があがる。
「そこは申しわけないけどキングスセイバー任せになるわね・・・・・・あそこまでデタラメな存在じゃないのよ」
再びマユミは溜息をつく。
「だが無いよりかはマシだ。頑張ってやろうぜ」
しかし熊谷は前向きだった。
熊谷も兵器などの差はあるのは分かっている。
だがそれでも戦わないと言う選択肢は彼にはなかった。
「警報!! 近くよ!?」
警報が鳴り響く。
熊谷 トシゾウ達は出動を心に決めた。
☆
Side 輝木 ミライ
再びの邪悪な気配。
リベリアス帝国の出現。
場所は都会のビル群の中。
だが今回は静かな物だ。
『とうとうお出ましか・・・・・・』
それもその筈。
今回は敵の指揮官――大幹部クラスが直々に現れた。
大量のリベルトルパーだけでなく、上級戦闘員であるリベルコマンダーの数も多い。
円盤も紫色の特別製だ。
長い紫髪で片目を隠している。
妖艶で危ない雰囲気で胸も大きく、黒いハイレグボンテージを身に纏い、各部にプロテクターがついている。
恰好はアレだが間違いなく美女だ。
「私はサディアーヌ。新生地球攻略司令官の一人よ」
どうやらご丁寧に待ち構えていたようだとミライは思った。
『俺はメガドラン。お前と戦いに来た』
背後にいる銀色のドラゴン――背丈は三メートル程度だ。
ロボットなのかとてもメカメカしい。翼も戦闘機のような翼だ。
また背中に二門の大砲まで背負っている。
奴も大幹部と見て間違いないだろう。
☆
Side 熊谷 トシゾウ
パワードスーツを身に纏う。
一応訓練で何度か身に付けている。
デザインは緑のメタルヒーローチックなデザインだ。
手には世界中から掻き集めた情報を元に有効だと思われる武器を手にしている。
トレーラーから出動して戦場に出向いた時には既に激しい戦闘が始まっていた。
まるで映画のような派手な攻撃の応酬。
飛び込むには勇気がいる光景だ。
『上等じゃねえか!!』
一番槍は熊谷だった。
手に持ったミニガンをリベルトルパー達に浴びせる。
『隊長に続け!!』
『初陣だ!! 遅れをとるな!!』
他のパワードスーツ部隊や歩兵もそれに元気づけられるように次々と攻撃を開始した。
☆
Side 輝木 ミライ
(自衛隊!? パワードスーツを開発してたんだ――)
などと思いつつ大幹部二人の攻撃を凌ぐ。
サディアーヌの鞭。
メガドランの全身に仕込まれた武器による火力。
更にはルザルトルパーやルザルコマンダーの攻撃の猛攻で中々反撃のチャンスが掴めないでいた。
正直これはありがたい。
『おい!! 白いの!! ここは共同戦線だ!! 分かるな!?』
『は、はい!!』
パワードスーツの一体からめちゃくちゃ聞き覚えのある声がした。
確かスマホ撮影していた生徒達相手に怒鳴り散らしていた人だ。
『玩具の鎧で何が出来る!!』
『地球をなめんじゃねえぜ!! 侵略者さんよ!!』
メガドランの言葉に返事とばかりにミニガンを浴びせる。
『そんな豆鉄砲で――』
メガドランは何とも無さそうな感じだったが――
「ドラン!!」
『!?』
メガドランはサディアーヌに言われてハッとなった。
一瞬の隙を突いてキングブレードで切り裂かれ、激しい火花が飛び散る。
両手のかぎ爪で反撃しようとするがかるく後ろに飛び退いて回避されて手に持った銃、キングブラスターで反撃される。
「このままやられっぱなしに――」
サディアーヌがフォローに入ろうとするが。
熊谷はグレネードが投げ込まれ、爆発。
「くっ――」
爆発から逃れたサディアーヌ。
「今回はこれで退いてあげるわ。でも覚えておくことね。私達、リベリアス帝国は必ずこの星を頂くわ」
『今回の借りは必ず返す』
そう言って二人の大幹部は退散する。
そして――
『キングスセイバー、逃げろ』
『え?』
ミライは熊谷にそう言われる。
『俺達はお前の捕獲命令を受けてる』
ミライは何を言われてるか分からなかった。
『だから逃げて――』
そしてミライは爆発で吹き飛ばされた。
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