異世界≪日本≫のマジックメイル≪パワードスーツ≫乗り

MrR

プロローグ

 Side 冴葉 ヒカル

 

 僕は(どうしてこうなったんだろう)と思いながら高級ホテルのような内装の場所を逃げ回る。


 後ろでは完成度の高いアニメチックな制服を着た、様々なコスプレ少女達が怒濤の勢いで追いかけてくる。


「変態!」


「覗き魔!」


「待ちなさい女の敵!!」


 などと言いながら炎の弾や氷の氷柱やら、雷撃とかが飛んでくる。

 

 それもそのはず、気がついたら美少女だらけの女湯にいて、鼻血出しながら慌てて逃げて、そのまま見逃してくれる筈もなく、今こんな感じになっている――


「嘘でしょ!?」


 そして遂には前方を塞ぐように三人のメカ娘まで出てきた。

 顔やら二の腕、太ももなどが露出しており、どことなくファンタジー的な装いで、三人とも美少女である。


「あら、よく見ると意外と可愛い侵入者ね」

 

「だけど覗きは覗きです」


「大人しく捕まった方が身のためだぞ?」


 僕はその場にへたり込んで観念した。



 どうやら自分は異世界に来た――らしい。


 魔法やらパワードスーツやら見せられた上に色々と話しを聞いているうちに分かった。


 だけど専門用語とか色々と多くて取りあえず自分は異世界マギアスのクレセント王国のパワードスーツ養成学校(*女子校。これ重要)に来たんだと解釈した。


 ラノベの新人賞に投稿したらこの時点で「なんの作品を真似しながら書いた?」と大文字で原稿に書かれて帰ってきそうな頭の悪い話の流れだ。


 そして現在、何もない質素な部屋に入れられている。

 一応、トイレや洗面所、シャワーも完備しているらしい。

 飲み水もある。

 まあ鉄格子はあるのだが。


「で? 君は何時までいるの?」


「ダメでしょうか?」


 鉄格子越しに金髪美女と会話する。


「普通こう言うのって大人の人がやると思うんだけど――」


「大丈夫です。こう見えても強いんですよ?」


 そう言ってニッコリと微笑みかけられて思わず目を逸らす。

 

 長い金の髪。髪の側面を髪の毛でお嬢様結びにして後頭部をリボンで飾り付けている。

 慈愛に満ちた青い瞳。

 大人びているが十代半ばと分かる顔立ち。

 綺麗な白い肌。

 大人顔負けのプロポーション。

 そして顔よりも大きな胸。


 白い制服に青いスカートの制服姿を上品に着こなしている。

 大きな胸元の上にはペンダントが置かれている。

 腰に剣を帯刀しているがそれがより魅力的に感じられた。


 素人目でも学校の可愛い子と呼ばれてきた女の子と比べることすら失礼なレベルの女神だ。


「私はソフィア」


「ソフィアね。僕の名は――」


「サエバ ヒカル君――ですね。どうお呼びすればよろしいでしょうか? あ、私は気軽にソフィアと呼び捨てでも構いませんよ?」


「じゃあヒカルでっー―って、ちょっと待ってください」


「なんでしょうか?」


「僕――ワザとじゃないとは言え、女湯覗いたんですよ?」


「ええ、そうですね」


「そんな奴と二人きりで会話するのっておかしくないですか?」


「確かにおかしいですね」


 何がおかしいのかクスクスと笑う。


「そんなにおかしいんですか?」


「いえ、不思議な人だな」


「僕からすればソフィアさんのが不思議なんですけど」


「そうですか?」


「――はあ、それで何の用ですか?」


「色々と聞きたくて。もう一つの世界、地球のことを」


「・・・・・・他の人にも説明しましたけどよくすんなりと信じてくれましたね」


 本当にそこが奇跡だ。

 警戒心はないのか。


「はい。いちおう言い伝えとか伝承とか、記録がありますので――」


「そうなんだ・・・・・・」


 他にも同じ地球の人とかいるパターンかなこれ。


「ソフィア。まだ話を続けるのか?」


「あらあらアイヴィス。もう夜は遅いですよ」


 ふと気が強そうな女の子が現れた。


 名はアイヴィスと言うらしい。

 

 銀髪のショートヘアー。

 切れ長のお上品そうな瞳。

 肌も真っ白で美しい。

 ソフィアさんに負けない体つきで胸の大きさも負けてない。


 彼女も白い制服を着こなし剣を腰にぶら下げている。 

 

 ソフィアさんが女神なら彼女は気高い姫騎士のようだ。


「物好きなのは知っているがな――そんなに興味があるのか?」


「じゃあ一緒に彼とお話する?」


「いくら事故でも乙女の体を覗き見た奴とか?」


 そう言われて俺は「そう言えば――」と顔と体が何だか変になってきた。


「そう言えばそうですね。でも不思議と――何故でしょうか?」


 顔を赤らめながら返すソフィア。

 アイヴィスは「ハァ」と溜息をついて「まあソフィアらしいと言えばらしいな」と言いおえて


「とにかく、監視はどうするんだ?」


「そうね。このまま閉じ込めておくのもかわいそうだし、それに行くアテもないから交代で面倒見ましょうか?」


「また勝手なことを・・・・・・まあいいだろう。私も興味がある」


「ええ!?」


 監視ではあるが絶世の美女二人に交代で付きっきりにされる。

 そんな状況に僕はあれこれ妄そ・・・・・・想像して頭がどうにかなりそうだった。

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