夜中3時。俺の世界

@colo1212

第1話 俺

 ゼロサム。


 世の中は全て無で作られている。だからこそゼロサムなのだ。


 例をあげればキリがない。


 生後まもなく死ぬ人間。死にたいと願いながら生き続ける人間。

 肋骨が浮き出ている人間。全ての骨が見えないぐらいに肥えた人間。

 人間を顎で使う人間。人間に顎で使われる人間。


 何かがプラスになればマイナスになる。

 これが世の真理である。


 解決策はある。

 

 それは自己犠牲である。



 とある世界の会話。


「また赤い雨が降ってきたな」


「最近、周期が短くなってきたな」


「この世の終わりかな?」


「さぁな。まぁここは楽園ではないよな」


 赤い雨の後が降る


 その後に黒い雨が降ったらおしまい。


 黒い雨が降ってきた。


 とある世界は旧約聖書の大洪水のようにリセットされた。

 ノアのように助かった人間はいるのだろうか。




 目覚ましが鳴った。これは起床の合図。朝が弱い俺にはツラい。

 だから起床の合図をお気に入りの音楽にしていた。不思議なものだ。今となっては、お気に入りの音楽が不快だ。


 今日も仕事に行かなければいけない。気分は最悪だ。まぁ、だいたいの人間が同じ気持ちだと思う。


 ほんの少しの違いが人生を左右する。やっぱり不思議。


 小さい小さいコミュニティの中で優劣をつける。ドングリの背くらべというやつだ。ドングリの木から見ると滑稽であろう。


 そんな背くらべなど俺には趣味がない。


 夜の十時までに仕事が終われば良い。

 起床が六時ならそれで良い。

 月一にケンタッキーが食えるほどの給料で良い。

 両親が守れれば良い。

 子孫を残し、それを守る力はいらない。そんな能力は俺にはない。大半の人間が持っている家庭もいらない。


 そんなもんは諦めた。

 俺には叶えられない。

 それが俺の人生であり、俺の能力限界だ。


 変な事を考えすぎた。

 朝から嫌な気分。これはいけない。

 今日の夕食は辛いラーメンにしよう。むせる程熱く辛いラーメン。

 食後にはコーヒーでも飲もう。

 でも外食なんて贅沢だ。全部インスタント。だから金額にすると約百円。


 きっと明日の朝は下痢だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る