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side. Akihito





怒りに任せ、あっさりと5人全員潰し終えた所で…

野次馬が増え始め。


俺は気を失ったままの保を抱え、

急いでその場を立ち去った。





背負った保が、暫くしてから目を覚ますと…

お約束にも、すぐにゴメンとか言い出すもんだから。


落ち込ませないようにと、

出来るだけ優しく慰めてやったんだ。






保の家がある団地に到着すれば、

しょんぼりした顔で、上目遣いに見つめてくる保。


そうしたら重野にやられた痣が、色白な肌に生々しくもくっきり残されてるのが目について…。



気付けばその口端の、切れた箇所へと手を伸ばしていた。






触れた途端、肩を揺らす保。

痛いのかと問えば、違うと否定したから。

労るよう、優しくその傷へと触れる。



結局、保に怪我を負わせてしまった。

それにはひたすら歯痒い思いだったが…


身を挺してまで、自分よりもデカい奴に怯まず挑んで行ったその姿が。



俺の胸を、無性に熱くさせたんだ。








唇に触れると、のキスの感触が蘇る。



俺は誕生日からずっと、良く分からねぇ気持ちに悩まされてるってぇのに…


当の本人が全く覚えてねぇって分かった途端、

実際は保が覚えてなかったという安心よりも、苛立ちの方が強くなっちまってて…







(もし、今…)


俺を好きだって言うコイツに…を、したら?



魔が差した俺は、未だに残る鮮明な記憶と。

目の前の恥じらう保の唇とを、重ね合わせてしまい…






「んっ……」



気付いたらもう、食らいついてた。






「コレは…」


何だろう?って、瞬時に自問自答するも…


答えが見つからず、結局は今日の『お礼』だとかワケ解んねぇ事を口走っちまって。


さすがにダサすぎだろと、居たたまれなくなり。

立ち尽くしたまんまの保を置いて、とっととその場から逃げてしまった。





その日の夜も散々考えたけど、

結局はモヤモヤしたもんが増すばかりで…。



いつの間にか朝が来ちまって、徹夜したまま仕方なく学校へ向かったものの。


合わせられる顔なんざねぇクセに、始業式なんてクソ面倒臭いモンにまでわざわざ出席して。


それとなく保のクラスを盗み見たんだが…



そこに保の姿は見当たらず。

生徒が犇めく体育館中をひと通り見渡しても、



やっぱりアイツは何処にもいなかった。








一応教室まで行って、

保の担任に事情を聞けば病欠だと告げられ。


もしかしたら昨日の怪我が原因かもしれないと、

心配になりメッセージを送ってはみたが…



やはり返事は来なかった。







無視された?

いや…殴られた衝撃も結構強かったし。

思ったより、体調が良くないのかもしれない。




一抹の不安をかなぐり捨て、新学期2日目を迎えた朝。


ホームルームの後、すぐに保の教室へと向かったが…




やっぱりアイツは、登校していなかった。

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