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side. Tamotsu
夏休みも残り僅か。
唐突に送られてきた、キミからのメッセージ。
『今日昼にお前んち行く。
ケーキ用意しとけ。ホールでな。』
─────ケーキって、何?
海に行った日、あの時の自分の行動を後悔しても…
取り返しはつかない。
きっともう友達には戻れないなとか、最悪嫌われちゃったかも…とか。
あれからは家に引き籠もって、マイナス思考に陥り。悶々とした日々を過ごしてたんだけど…。
意外にも上原君は気にしてなかったみたいで。
それはそれでちょっとショックだったけど、彼の方から普通に電話とかメッセージとか送られてきたりして。
なんだかんだ夏休みを満喫し…
週2、3回ペースで会ったりしていた。
やることといえば…買い物だったり、互いの家でゲームやら、時には何をするでもなく喋ってまったりとか…。
本当に普通の友達を、していたんだけどね。
夏休みも残り僅かとなった、8月21日。
そのメッセージは朝早くから送られてきた。
とりあえず開店と同時に、ケーキ屋さんで指示通りのケーキをホールで買って。急いで家に戻ってきたけど…。
なんだろ、パーティーでもするのかな?
夏休みだし…でもなんでこのタイミング?
大好きな人を待つ間、出来るだけ家の中を掃除して。汗ぐっしょりになったから一度シャワー浴び、服を着替えて…。
ついでに買ったチキンとコーラ、適当におにぎりや、つまめる物なんかも作って…気が付いたらお昼前。
(やっぱり緊張するなぁ…。)
夏休みの間で随分と一緒に過ごしてきたけど。
こうして会うまでの時間は、
いつまで経ってもドキドキしちゃって。
まぁ、一緒にいる時も結局はずうっと。
心臓鳴りっぱなしで意識しまくりなんだけど、ね…。
カチコチカチコチ…
時計に集中しちゃうと、どうも落ち着かない。
けど手持ち無沙汰にも仕方なく、じっとその時を待ち侘びていると────…
ピンポ━━ン────…
「きっ、来ちゃった!!」
弾みで立ち上がった勢いで、ガコンと膝を強打するも。涙目で足を引きずりながら、急ぎ玄関へと向かえば…
「よっ。」
今日もやっぱり素敵な上原君が、
爽やかな笑顔でお越しくださいました。
「い、いらっしゃいっ…。」
日を増すごとに、ドキドキと心拍数が増していく。
初めの頃の方が、もっと普通に話せたのになぁ…。
今はつい意識しちゃうからダメだ。
上原君は何かと勘が鋭いから、すぐバレて気を遣わせちゃうし。
ホント不器用だなぁ、僕…。
「ケーキ買ってきたか?」
「うん…急だったから、ちゃんとしたのはなかったけど…。」
お邪魔しま~す、と律儀に告げて上がり込む上原君。
うちが母子家庭で、お母さんが殆ど仕事でいない事を知ってるのにね。
「おっ…さすが保、気が利くな~!すっげぇソレっぽいじゃんか。」
団地仕様の、こじんまりとした台所のテーブルを挟んで、ふたり席につく。
「あ…ホールのケーキって言われたから。何かパーティー的なことでも、するのかなって…」
テンション高めな上原君とは逆に、未だにひとり状況が把握出来ておらず、小首を傾げていると…
「今日、誕生日なんだよ。」
…………え?
「だっ、誰…の?」
「あ…?俺のに決まってんだろ。」
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