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『屋上で待ってろ』
─────それはキミから初めて与えられた、約束。
次の日、腫れぼったい目を携えながら学校に行った。
本当は見せられるような顔じゃなかったけど…。
お母さんが心配するし、家は静か過ぎて余計沈んじゃうから。仕方なく学校へは行ったんだ。
朝のホームルームが終わってすぐ、席でぼんやりしていたら。急に教室内がしんと静まり返っていて。
それにも気付かず、ひとり物思いに耽っていたら…
『佐藤。』
夢かと思った。
昨日あんな険悪な雰囲気にしてしまったし…
もう二度と、話すことすら叶わないんじゃないかって…覚悟してたもんだから。
わざわざ僕の教室まで訪ねてきて、
名前まで呼ばれて。
不覚にも、ときめいてしまう。
「え、上原く…」
「……………」
僕の顔を見たとたん、険しくなる顔。
何かを察した上原君は、一度僕から目を逸らし溜め息を吐くと…
「…今日の放課後、屋上で待ってろ。」
それだけ告げて、返事も聞かずに去っていった。
「佐藤、お前何やらかしたんだよ…?」
クラスメイトが心配そうに背中をポンと叩いたけど、僕は反応出来ず。
(上原君…)
きっと、悪いコトじゃないと思う。
何故ってそれは、
キミの顔が昨日よりも、輝いて見えたから。
(頑張れ、上原君…)
期待と不安で高鳴る胸を、ギュッと押さえて。
僕は心から、そう願った。
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