第26話
眠たい授業の合間。
唯一の休息時間である休み時間。
「なんか最近色々ときな臭いわよねぇー」
「そ、そうだね。うん」
有本さんの言葉に陽向が頷く。
「……きな臭いって何が?」
「お前の家……常にテレビついているよな?普通にニュースでやっていると思うんだが?」
僕の疑問に対して、龍魔が疑問符で返す。
「え?そうなの?見た端から忘れていっているから覚えていないや」
「なんだよ、それ……」
ダンジョン遠征。
それ以来僕と龍魔と陽向と有本さんの四人でつるむことが多くなっていた。
ちなみに、有本さんはもともと一人で本を読んでいるタイプの子だったから、こんなに喋る子だったのか……と驚いていたりもしている。
「えっと……なんか最近異様なまでに事故、事件が多いのよ。それも何か不穏なものが。行方不明事件とかも多くて……」
「へぇー。そんな事が起こっているんだ」
そういえば確かになんか慌ただしくなっているかも……この街全体が。そんな気がする。
僕はいつも夜中にパトロール……何か面白いことが起きてないかなぁーっと探し歩いているんだけど、なんかここ最近色々とお国の人とか、なんかよくわからない人とか戦っていたり、誰かを攫おうとしていたりしているのを見かけた。
ちなみに僕は、なんか下手に動くと犯罪者として捕まっちゃう気がしているから、誰かが殺されそうになっている時以外は何もしていない。
警察に捕まることのなさそうな、裏で起きている大事件以外で僕は関わるつもりはない。
「あ、大変なことになっているから、あまり動かないほうが良いと思うよ。なんかダンジョンで手に入れたスキルと魔法を使って悪さしている人たちが天天」
「あぁ……天宮の連中か」
「なにそれ」
「……お前、もう少しくらい世間のことに目を向けろよ。ダンジョンで力を手にした自分たちは優秀な人間であり、選ばれた存在だッ!という思想を持っている連中のことを天宮。って言うんだよ」
……天宮ってどこから来た名前なの?
というか、なんかむちゃくちゃじゃないか?
「ん?スキルと魔法はダンジョンで魔物を倒せば誰でも手に入るし、優秀もクソも、選ばれたもクソもなくない?」
「えぇ、そうね。そんなこともわからず、自分たちは選ばれた存在だって言い張っているからこそ、やばい奴ら扱いされているのよ」
「ふーん。変な人たちもいるんだね」
「天宮の連中もお前にだけは変だなんて言われたくないと思うぞ」
「なにおぅ!?」
僕は龍魔へと飛び膝蹴りを放つ。
「ちょっ!?暴力反対ッ!」
そんな僕に対して龍魔は逃げ出し、僕はそれを追いかけた。
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