第13話
「おーい。遊びに来たぞー……って何をやっているんだ?」
「んー?パズルだよー」
僕の家にやってきて開口一番疑問の声を上げた龍魔に対して僕はそう答える。
今、僕の目の間には3000ピースのパズルが置かれている。
「……いや、こんな狭い部屋でそんな大量のパズルを広げるなよ。足の踏み場もねぇ。どうやって寝ているんだ?」
「ん?大丈夫だよ。このパズルを初めてから寝てないから。ずっとパズルだけをしているから。足の踏み場がなくても困らないよ」
「は……?」
龍魔は僕の作っているパズルを……もうすでにあらかた完成しているパズルを見る。
「ん?」
僕は首を傾げる。
「あぁ……そういえばお前の集中力はバグってたな」
「む。バグっているとは失礼な!僕は至って普通の人間だよ!」
僕は闇に潜り、影に潜み、暗躍する者。
表舞台、光の当たるところに住む僕はただの一般市民なのだ!
「いや、お前が普通であることは万に一つもないぞ?」
「なんでさ!」
僕は龍魔のひどい言葉に頬をふくらませる。
「ちょっと待って。後少しで完成するから」
僕は残りの数十ピースを手にとり、一気に終わらせていく。
「よし、完成」
作り終えたパズルを前に僕は頷く。
ふふふ。良い達成感だ。うん。
「はい」
僕は完成したパズルを壊し、袋の中に全部収納していく。
「よいしょ」
その後、唯一の物置場であるタンスの中に袋を仕舞う。
「良し、入ってきていいよ」
僕は玄関で待たせていた龍魔の方に視線を送る。
「……一瞬で壊せるお前が凄いわ」
「いや、もう使ったら要らないじゃん。邪魔なだけだし」
「やっぱりどう考えても普通じゃないよ」
「なんで!?」
僕が龍魔の言葉に噛み付いたその時。
ピンポーン。
家のチャイムの男が響き渡す。
「ん?誰だ?」
「多分陽向かな。なんか毎日来ているし」
「え?」
僕は玄関の方に向かい、扉を開ける
「お邪魔していい!?」
「うん。良いよー」
そこに居たのは予想通り陽向だった。
「え?何、お前らって付き合っているの?」
僕の予想通りに来た陽向を見て、龍魔はそんなことを尋ねてくる。
「いや?」
「違いますよ」
龍魔の言葉を僕と陽向は否定する。
ふっ……僕の暗い使命を勇者である陽向に背負わせることなんて出来ない……。
「え?違うのか?ならなんで毎日家に来ているんだ?」
「何を言っているんですか?友達なんだから家に遊びに行って当たり前じゃないですか」
「いや、毎日来ないだろ普通。どんな友人関係だよ。仲良すぎかよ」
「え?」
「「……え?」」
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