第14話 愛撫

子供のように泣き出すなんて

考えてもいなかった


止まらない涙に

戸惑う俺を

抱き締めるこの腕に

甘えたくて

ずっとこうしていたくて

からだを預けてしまった


静かに抱え込まれ

俺達を隔てるものを捨て去り

甘い熱を放ち絡み合う


言葉の愛撫が

心に

からだに

蜜を垂らす


触れられるたびに

からだは力を手放し

悦びを受け入れる


おまえは

俺の反応を

ひとつひとつ確かめながら

更なる悦びの世界を

感じさせてくれる


抱き締めて

もっと

抱き締めて


口づけて

互いのぬめりが

ひとつになり

滴り落ちるような

口づけをして


あぁ感じる

熱い

もっと深く感じさせて


あぁ

俺だけを求め

俺だけ受け入れろ

絶頂に連れていくのは

俺以外いないと

おまえの激昂は

果てることを知らない

熱の塊と化し

喘ぐ俺の中を貫く


もう

繋がりは切ることはできない


「離れない

傍にいる

愛し合いながら

ひとつの人生を生きていく」


言葉にならないこの感情は

零れ落ちるこの涙は

すべてを受け入れて

求めてくれる

おまえが愛しくて


果てた先

俺の

ただひとりの男が

愛撫のように囁いた

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