第6話 表 裏

表 裏

そんなの誰にだってあるんだ


わかっている 

別に珍しくもない


きっかけなんて

そこら中にあるんだから

ひょっこり顔出されたって

驚きゃしない


そんなくだらない事を

考えるより


その日を生きる事がすべて

それが日常だ


人生無味乾燥の俺

人を愛したことはあった

が、

愛された記憶はない

そう…

受け止めてはもらえない

絶望は知っている


そんな俺に

突然現れたおまえが

容赦なく投げつけてきた恋情に

不覚にも

戸惑い立ちつくしてしまった


俺の心が追いつけないのは

情愛の未熟か


頭の中に先を描けないのは

思考の欠落か


忘れようと為てた

おまえの名前を聴いた瞬間


俺の理性は

いとも簡単に

お前と言う激情モンスターに

踏み潰された


今ここにいるのは

ただおまえに逢いたいと

その想いだけに

囚われている

情けない男だよ




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