第23話 キャラバン

◇デライト視点


村を出て二日最初の村に着いた。ここはデライト達が追いだされたのとは逆方向にある村だ。早速馬車から荷物をおろし、客引きを始める。すると村長が話をしに来た。


「この村には金銭はないぞ。商品は欲しいがどうするのじゃ?」


「物々交換で構わない。食料や酒、使えない鉄類も引き取るぞ」


そういうと村の皆は食料を持ち寄り、生活雑貨を購入していく。デライトが村長に尋ねる。


「この村では武器などは買われないのですか?」


「少し古い武器であれば儂の家に備えておる。それでなくても最近は魔物の被害が全くないのじゃ。みんな安心しきっておるよ」


「それでは、このくらいの子供がうろついているのを見かけたりはしませんか」

そういってデライトは120cmくらいを手で示す。


「それは最近よく見かけるの。儂らにはほほえましい光景に映るが、生活に困窮している輩は捕まえようとして返り討ちにあっておったの。そういえば最近そやつらの顔を見かけんが何か関係しとるのかの?」


「それは分かりませんが、とりあえず子供たちに手を出さなければ問題は起こらないと思いますよ」


村長は首をかしげているがデライトは話は終わりとばかりに馬車の方へ戻っていった。


次の日に村を出て三日後、街へとたどり着く。街には外壁があり入るには身分証が必要だ。デライトとアリスは身分証を持っていないためどうしようかと考えていたが、門番に事情を説明するとあっさり通して貰えた。どうやらそのような子供は少なくなく、自由に街を出入りできるようになっているらしい。デライト達も無料で入ることができたができれば身分証を作成してほしいと言われた。


街の広場にたどり着き、馬車から荷物をおろすと数名の兵士が訪ねてくる。

「ドワーフのキャラバンが到着したと聞いたがここがそうか?」


「そうですよ」

とデライトはあたりさわりのない返事を返した。


「ここは武器を取り扱っているか?」


「ありますよ。ドワーフが作ったものです」


「ほう。ドワーフ製とは珍しい。よし、決めた。その武器は貰ってやる」


「ありがとうございます。代金は「なにか勘違いしているようだな」」


「俺は貰ってやると言ったんだ。さっさと武器を渡して街から出ていくがいい」

その言葉を聞いていた兵士たちはにやにやと笑っている。その他の街の住民と思われる人たちは逆に気落ちしていた。ドワーフ達は怒り心頭だ。


「早く渡せと言っている」

そう言った瞬間、ドワーフ達が兵士に殴りかかる。兵士たちも応戦するために剣を抜こうとするがその時にはすでに他のドワーフが弓で標準をつけており兵士たちは動けなくなっていた。キャラバンのリーダーであるラドンが話す。


「ここにはもう品物は売りに来ない。みんな街を出るぞ」


そう言ってキャラバンの一行は街を出た。門番の兵士は申し訳なさそうにしていた。


デライトはラドンに尋ねる。

「ここ以外にも街はあるの?」


「もう三日西へ向かった先に街があるな。今回はそこまではいかず東に向かい村で商売をしながら帰ることにする」


そうやって村を巡って五日かかりキャラバンは結城のいる村に帰ってきた。

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無限の錬生師 るいす @ruis

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