第8話:あてのない未来

缶ビールをあけながらノートパソコンを開く


メールを確認すると依頼が届いていた。


「自然保護区の近くに住んでる・・・か」


地図を検索する


車で1時間くらいか・・・レンタルしている電気自動車なら往復しても余裕かな・・・


「グレイス、明日は自然を身にドライブしましょう」


「ドライブ・・・ですか」


「車で移動すること」


「・・・はい」


---


「仕事ですか」


自然保護区に向かう車の中


「まぁ、そんなところかな・・・」


「魔法使いですかね」


「たぶん違うと思う」


「あれ?期待しないんですね」


「・・・そうだね、期待して行くとだいたいがっかりする」


「そういうものですかね」


「そういうものだよ」


湖の近くに車を止める


「ここからは歩いて15分くらいかな」


「湖畔に住んでるなんて魔女っぽいですね」


「・・・そうかも・・・ネットで何か見たの?」


「魔女についていろいろ調べておきました」


「・・・そう」


そんな会話をしながら歩くと一軒だけ家が見えた


「あれかな」


「まぁ、行ってみましょうか・・・」


グレイスはなんの警戒もなくドアをたたく


「え?」


「ダメでしたか?」


扉が開く


「はい」


人が出てくる


グレイス「こんにちは」


「どちらさまでしょうか?」


グレイス「え・・・っと」


ショートカットの女性・・・というよりは少女か


リズ「こんにちは、私はリズでこの子はグレイス。あなたがルイーズさん」


「ルイーズは奥に・・・呼びましょうか?」


リズ「お願い」


「はい・・・、ルイーズ、お客さんがきたけど」


・・・不用心だな・・・


グレイス「魔女っぽくない子でしたね」


リズ「あなたネットで何を見たの?」


グレイス「黒い服を着て帽子をかぶってホウキを持っているのがスタンダードのようでしたが」


リズ「その姿でいつもいる人はいないと思う」


グレイス「そうですか」


リズ「その恰好でいてくれたら探す必要もないのかもね」


まっていると人が出てくる


ルイーズ「なにか御用かしら?」


普通の恰好をした髪の長い女性が出てくる


リズ「お話を伺いたいのですが」


ルイーズ「・・・どうぞ」


リビングに通される


ルイーズ「お茶か何か飲みますか?」


リズ「いえ・・・おかまいなく・・・警戒しないんですね」


ルイーズ「はい、来るのがわかっていましたから」


リズ「・・・はぁ」


ルイーズ「こちらに座って待っていてください。大丈夫、毒とかいれませんから」


リズ「じゃぁいただこうかな・・・」


ルイーズ「そちらのかたは?」


グレイス「私は飲めないから気にしないでください」


ルイーズ「・・・そのようね」


紅茶を入れて向かい側に座る


アールグレイかな


ルイーズ「残念ながら、ここにあなたの探しているものはないかな・・・」


リズ「ずいぶん話がはやいんですね」


ルイーズ「だってあなたが探しているのって「魔法使い」でしょう?」


リズ「はい・・・よく御存じで」


ルイーズ「ここに人が訪ねてくる時はだいたいその話だから」


リズ「あなたは?」


ルイーズ「私の「これ」は占いとかそんな類のものだから魔法ではないかな・・・」


リズ「占いですか・・・」


ルイーズ「そういってしまえば、それ以上にはならないでしょう」


リズ「ずいぶん不思議な言い方をするんですね」

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