幻想学者

ましさかはぶ子

第1話

   幻想学者




教授は極めて幸運な人物である。


彼は裕福な貴族の生れである。

幼少の頃は病弱であったようだが時が経つにつれて健康になっていったそうだ。

そしてそれとともに彼の才能が芽生えていった。


教授は不思議を知る能力があったのだ。


普通の人には伺い知れぬ別世界の扉は彼には開かれたのだ。


その時彼の両親はどうしたのか。


自分の子が時にあらぬ方向を見て語り出したら普通の親は驚き慌てるだろう。

だが、彼の両親は違った。


彼の家系には稀にそのような才能を持つ者が生まれるのだ。


それを知り彼に対して適切な道を進ませる親がいた事は

彼の幸運の一つだろう。


彼は才能を折られる事なくすくすくと育ち、

長男でありながら家督を継ぐ事なく

彼の弟が芳醇な研究費を教授に注いだ。

弟が極めて優秀な経営の才能を持っていたのも教授の幸運だ。


そのおかげで教授は様々な所に行き、そして不思議を悟る。


そしてその様子を我々凡人に語ってくれる。


彼の幸運が我々の好奇心を満たしてくれると言う、

我々にとっても幸せな出来事である。


さて、彼の報告は不定期であり数も多くはない。


だが、教授から便りがあればすぐにでも紹介したいと思う。


我々はそれを焦ることなくゆっくりと待つとしたい。

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