ポーカー放浪記

木村三文

アメリカ編

プロローグ

 俺はアメリカへ行く。ポーカーをやるのだ。

 World Series of Poker(通称WSOP)が開催される。毎年6月から7月にかけてラスベガスで開催されるの世界大会だ。


 俺は5年前から、ポーカーと呼ばれるゲームをやっている。ポーカーの本場アメリカで自分の実力を試したい。今回の旅は、ロサンゼルスとラスベガスでポーカーを集中的にやってみようと計画している。



 さて、旅の準備だ。


 まずは現金を用意した。約7,000ドル、日本円にして90万円強。多すぎるようにも思えるが、ポーカーをするならば、ある程度まとまった資金が必要である。セキュリティには気を付けなくてはならないが、カジノに預けることができるので、そこまで心配はないだろう。


 さらに、レンタカーを運転する可能性があるので国際免許を取得した。免許センターで金を払えば簡単に取得できる。


 3回目のワクチン接種と歯の治療。日本へ帰国の際、3回ワクチンを打っておけば自宅待機の義務がなくなるので必須だ。

 歯の治療。サラリーマン時代に親知らずを全て抜いておき、虫歯も治療した。旅先で歯の痛みは耐え難い。アメリカでの治療は高額だと言うので、これも必須だ。


 その他、アメリカ入国に必要なESTA(VISAの代わり)やワクチン接種証明、航空券の入手、e-simも準備した。

 着替えは半袖、パンツ、靴下を3セット。ジーパンと革ジャンを一着とゴアテックスの帽子だけを鞄に詰めた。あとは、PCとモバイルバッテリーやケーブル類だけである。



 ここまですれば準備万端だ。

 とはいうものの、正直に告白すれば一人旅ほど怖いものはない。見知らぬ土地で言葉も十分に通じない所へ一人で行くこと。不安だらけである。

 しかし、「案ずるより産むがやすし」というように、行ってみなければどうなるかは分からない。


 そして何よりも、。根拠なんてどこにもない。

 俺は、そんな曖昧な感覚を信じて会社を辞め、アメリカへ旅立つ。客観的に見ればだろう。それでも俺は、インスピレーションに従って生きるのだ。

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