第3話 情事の憂鬱

吉祥寺ーーーおしゃれで憧れの街と誰もが知っている。

ふと思う。都会に住み慣れた自分も吉祥寺へ行ったことがない。

吉祥寺のこと詳しく知らないなーーー


 ◇  ◇  ◇


エッチをなんと表現していいかわからない。


下品な言い方はしたくない。


そこに愛がなければ虚しくなるだけだし、単なる性欲のぶつかりあいだとは思えない。


思いつくかぎり、言葉の響きを想像してみる。

「エッチ」「行為」「情事」「彼女とひとつになる」「合体」「お互い求めあう」・・・

「愛のぶつかり稽古」とおかしな呼び方をする奴もいた。

いっそ「おS○X」と丁寧に言ってみてはどうだろうか。


こんなことで悩んでいるなんて、失笑してしまうが、「情事」が一番しっくりくる。


 ◇  ◇  ◇


情事ーーー

どんな言い方をしても、過去の恋愛、数数の夜を思い出すと、気分は憂鬱になってしまう。

そんな気分のときは、いつもの珈琲の味もわからなくなる。


 ◇  ◇  ◇


自分は「情事」というと「吉祥寺」を思い浮かべてしまう。


理由はとてもくだらないが、友人が吉祥寺の事を「ジョウジ」と呼ぶから。


吉祥寺を思い浮かべる自分の頭の中に、ふと「疑問」が放りこまれる。

そして、頭の中から色っぽさや情緒は消えてしまう。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

 吉祥寺は23区内なのか?

ーーーーーーーーーーーーーーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る