ルーズリーフ
竜崎
プロローグ
いつもの公園。
いつものメンバー。
オレ達は、いつも一緒だった。
「ヘーイ!まーた坂井が鬼ぃ!」
「このやろ!」
「あんた、じゃんけんさー、いっつもグー出すじゃん?いい加減気づきなよ!」
「このおおおお!」
全速力で走る。相手も走る。向こうの方が速い。
げっ!気づいたら、西やんも、ひー君もいないじゃん。
女子も速い。大城なんか、背が高いだけじゃなく、足も速い。
伊東は……あいつどっか隠れたな!忍者かっつーの!
白石は、オレをからかいながら、さっと逃げる。
しかし、だ。今日のオレには「秘策」がある!
「あ!100円みっけ!!」
……って誰も来ない!?
「そんな見え見えのウソ、引っかかるワケないじゃん?坂井ぃ、成長してないね?」
くそおお!良い手だと思ったのにぃ!
みんなはちりぢりになって、もうとても追いつけそうにない。
しかし、オレはあきらめなかった。
立ち止まって、息を整える。
そこから白石だけに狙いを定め、ヨーイドン!
全速力!
白石が焦っているのがわかる。
「ちょ!なんでわたしばっか!?」
「界○拳んん!!3倍だあああ!」
「ばっかじゃないのをををを!!」
散々追いかけて、とうとう根負けした白石を捕まえた。
「ハァハァ、あんたホントやめてよね」
「へへっ、オレの勝ち!」
「はいはい。まったく」
そこでみんなも集まってきた。
ひー君は、呆れながら
「ホント、イッチーって白石の事好きなのな?」
「は?!なんでそうなる?」
「だってさぁ〜坂井はぁ〜、あーちゃんばっか追いかけるじゃん?」
「大城。それは誤解というものだ」
伊東は、メガネのつるをつまみながら(頭に葉っぱもつけながら)、
「坂井は、あーちゃんラブ、だもんねえ?」
「イッチーの行動力は、見上げたもんだよ。」
そう言って、褒めているというより、からかってくる西やん。
「もう、みんなしてぇ。……まぁ?こんな美少女じゃあしょうがないよねぇ、坂井?正直に言っていいよ?」
「だーれが」
「でも、顔が赤いよ?ってあーちゃんも」
「「そんな事ない!!」」
見事にハモるオレと白石。顔が熱い。
ははは。みんなで笑ってしまった。
小学校までは一緒だった仲良しグループも、中学校は別々に。
大城と伊東は私立へ。
オレと西田、日野は地元の公立へ。
白石は親の都合もあって別の学区へ。
「寂しくなるな」
白石にそう言うと、
「まぁ、引越しはするけど、時々はコッチに顔出すよ」
「そか」
「じゃあまたね!」
そう言った彼女の笑顔は、少しさみしそうだった。
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