秘める恋

とろり。

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 私には双子の姉がいる。容姿端麗で頭脳明晰、非の打ちどころのない完璧超人。テストでは百点満点を連発するし、競走では必ず一位、優しいし、宿題の分からない問題を丁寧に教えてくれる。

 一方の私は姉と双子の姉妹だから容姿は良いかもしれない。胸も姉と互角だし。でも運動神経と頭の良さに関しては負ける。どこで差が付いてしまったのだろうか。

 男の子にからかわれてもすぐに助けてくれるし、教科書を忘れた時なんかも心よく貸してくれた。

 いつも頼りがいのある姉である。

 ある日ふたりでお風呂に入っていると、好きな人の話になった。

「美花(みか)は好きな男の子はいるの?」

「い、いないよ」

「ウソつけ、いるって顔に書いてあるよ」

「ふええーー」

「正直に言いなさいよー、ほれほれ」

 姉は私の好きな人を聞き出そうとする。

「え、えーと……。同じクラスの神山君かなあ」

「ふーん。明日、神山に言っとくね☆」

「ふええーー」

「冗談よ冗談。これは姉妹同士の秘密よ」

「絶対秘密だよ」

 姉は私をからかうとお風呂から出た。私も続いて出ると姉はじろりと私の胸を見て「また大きくなったみたいね」と意地悪を言う。

「お姉ちゃんこそ」

 ちょっと反抗。姉はそんな私に笑顔で反応。互いに背中を拭きあい、パジャマを着る。

 本当は前田君が好きだなんて言えない。これは私だけの秘密。



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