ラブコメは見てるくらいがちょうどいい

@sirousa212

序章

第1話






 水曜日それは学生がしんどい週の半ば。

 そんな中でも元気な学生がちらほらと…


「はぁ…そんなに目にクマが出来てまた夜更かしですか?」


「いや、またって昨日は誰かさんが飢えかけていたのを助けた人間に言うことか?」


「んなっっ、それとこれは関係ないじゃないですか!」


「でも事実そうだろ?」


「それは、そうですが」


「…おい誰だアイツ」


「…なんであの九重さんと」



 さて、諸君。

 唐突だがラブコメは好きだろうか。

 まぁ好きな人は多いジャンルではあると思う、例えば高校生の甘酸っぱい恋はその時をすぎた人達からすれば見ているだけで満たされるようなむず痒い場面や、ときめく場面などが売りのジャンルであり王道である。

 しかしそれはフィクションだから面白い、現実での恋なんてそんな簡単に物事は進まないし寧ろイライラすることの方が多いのではないだろうか。

 そんな人達に少しアドバイス。リアルも遠目から見ると案外悪くないぞ


「…あんたまた見ての?」


「おまえこそ不良ちゃんのくせに朝は早いのな」


「今日来ないと単位あぶないのよ」


「卒業くらいは気にすんのな」


「単位足りなくて卒業できないとかバカみたいでしょ?」


 さいで、確かにいくら不良とはいえ学歴があれば何とかなるしな。ついでにこいつは頭と見てくれだけはいいときた


「あんた、何考えてんの?」


「いや?見てくれだけはいいんだし中退しても水で生きてけんだろと思ってな」


「きも」


「くたばれ」


 すぐ暴言、これは客商売なんか以ての外だな…お?


「とにかく!夜更かしはやめてください」


「はいはい」


「あら、あなたの推しの声じゃない」


「はっ、観察対象と推しの違いまでわからなくなったか、頭がいいのはお勉強だけか?」


「はっ倒すわよ」


「やれるもんならな…今度付き合ってやるよ」


 そうこうしてるうちに2人が入ってきて、しばらく眺めていると担任が入ってきたので隣のヤツを無視しつつホームルームを聞き流す。

 それが俺『佐藤さとう 志季』の朝である。


「おーい、佐藤!隣なんだから井上起こしてくれー!」


「無理です、自分も起こそうとしたんですけど起きませんでした」


「はぁ?なにいってんのあんた」


「はい、起きたので続けてください」


 あぁ、隣がうるさい。はよ席替えしてくれ

 そう思いながら外を眺めるのが地味によかったりする。


 ◇



 ガタン


「は?」


 何が起こった?たしか俺は3限の授業をbgmにして、それから…


「寝すぎなのよ、あなた。もう四限終わったわよ?」


「…まじ?」


「まじもまじよ」


 よりにもよってこいつにおこされるとは…とりあえず昼休みなら都合がいい。

 とりあえずあそこ行くか


「屋上?」


「くんなよ」


「知ったこっちゃないわね」


「あ、あの!」


「「?」」


 誰だこいつ、てかショタすぎん?ホントこいつ高校生かよ


「何か用?」


「ふ、2人が付き合ってるってほんとですか!?」


 ……?

 こいつと、おれが?


「……」


「否定しないってことはやっぱり…!」


「あー、なんというか」


「うん…」


「「ないな」」


「もういい?邪魔なんだけど」


「すみませんでした!」


 ない、天変地異が起きてもないこいつと付き合うくらいだったら死んだ方がまし、こんな見てくれだけのやつと付き合うとなありえん


「あの否定の仕方はひどいと思うのだけれど?」


「お前だって同じ否定の仕方の癖によく言う」


「あなたねぇ…!」


 あぁ、心地いい。晴れの日、暖かい風、屋上。いい条件がここまで揃っているのにこいつが居ることだけが残念だ。


「…相変わらずガン無視とはいい度胸ね。聞きたいことがあるんだけどいいかしら」


「むり」


「残念ね、答えは聞いてないわ」


 なぜ聞いたし


「なんであなたあの2人をみているの?そんなに関わりたいなら話に行けばいいじゃない」


「あほか。見てる位がちょうどいいんだよ、お前だって自分の好きなドラマに入って邪魔したいと思わねぇだろ?」


「それはそうだけどそれとこれとは違うんじゃない?」


「人の人生のリアルラブコメがいちばん面白いんだよ」


「そ」


「寝るから、起こしてくれ」


「はぁ?起こさないわよ?…ちょっと!あなた膝に……」


 あぁ、もう無理だこの眠気にかてな…







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