第1話-7

「あぁ、境田二縦くんは今どこに?」

「あぁ、あいつならそこにいますよ。クローバーの3本部へ連れて行って厳しく指導するなりなんなりしてください、彼には多少の困難が必要なんですよ。」

そういって加古は直人の機嫌を取るように笑っている。

「で、境田二縦に何の用ですか?」

「うちで引き取ります。」

「やはり、そうしてください、国民の敵、境田克の居所がつかめるかもしれない。」

そうクローバーの3にゴマをする加古を無視して直人は二縦のもとへ歩み寄っていく。

「境田二縦くんですね?」

一回も見たことがない大人の男がそこにたたずんでいる。思わず、

「はい。」

と嗄れかけている声で返事してしまう。しまった。父さんの遺産目当ての親族だろうか、そう二縦の顔に出てしまったのか、スーツの男は

「いえ、怪しいものでは」

と「クローバーの3 治安統括部」と書かれている名刺を出した後、二縦の真正面に立って真剣な面持ちで、少し話があります、と言った。そして加古に二縦くん借りますね、加古にというと、

「いくらでもどうぞ、なんなら卒業まで預かっていただいてもいいのですがね?」

という加古の言葉を背中に浴びながらまたもそれを無視し、職員室の扉を思いっきり、足で開く。

「ありがとうございました。失礼しました。」

静まり返った職員室に直人の言葉が響き渡った

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