相棒④

「アンタは死んだ筈だ」

 そうだ、オレが殺した元相棒を。

 1年前のあの日、オレ達はかなりヤバイ任務を命ぜられ(中堅マフィアのボスの暗殺)オレと相棒(キール)は組んでまだ二ヶ月目の任務だった。

 キールはオレと組むのだから、もちろん能力チームで。

透視能力を持ち水を操り、かなり出来る奴と聞いてたけど最初からオレを目の敵にしてて、この組み合わせは失敗だと誰もが思っていた。


「レイジ、この部屋だよ。ここにターゲットが居る」

 キールが透視して、オレがターゲットを殺る手筈になってた。

 ピッキングでドアの鍵を開けようとしたが、「鍵は閉まって無いからそのまま静かに入って」と言われた。

 出来れば目立たず秘密裏に仕事を済まそうとしてたオレは疑いもせずにドアをソッと開けた。




 何だよ、ココは。

「キール、ふざけるなっ!」

 突き飛ばされ、振り返ったオレの目の前で、ドアが静かに閉まり、飛び付いてドアノブを掴んだが、ビクともしなかった。キールがノブを凍らせたらしい。


「アぁ? 誰だ、テメエは」

 信じられない思いで後ろを振り返る。

 そこは、その部屋は賭博場らしく、ザッと数えても二十人は居るだろうか。

「綺麗なニイチャンが此処に何の用事が有るのかな? おまけに、そんな物騒なモノもって」


 声を掛けてきた男に心当たりがある。ターゲットだ。オレは覚悟を決め銃を放り投げ両手を上に挙げた。

 きつく両目を閉じ最後の時を待つ。けども、来たのは最後の時では無く、生暖かい唇だった。


「ん―ン――ヤメ……」

 どうやら、オレはなぐさみモノになるらしい。

「滅多にお目にかかれない上物だ」

 この時、オレの中に殺意が。キールに対して芽生えたのは。

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