テキル星(14)敵の正体

「ここのパンは旨いな」

 と俺は露店で買ったパンを食べながら言った。


「そうね、バティカのパンは白いパンしか無かったけど、ここは色々あるのね」

 とティアは肉と野菜を挟んだクラブサンドの様なパンを食べている。


「テリヤキバーガーほどではないのです」

 とシーナもティアと同じパンを食べながらそう言った。


 イクスとミリカはこの街の商会に出かけている。

 新しい食材や料理と、新しい衣装の販売を打診しているはずだ。

 イクスの調査では、この国には目新しい食材や料理は多いが「麺」の文化が無い様だった。

 なので、保存にも便利で美味しく食べられるパスタ料理を販売しようとしているという事だ。

 ミリカは宿屋の中でも色々創作していた様だが、どんな衣装を作っているのか、俺はまだ見ていない。


 ま、ミリカに任せておけば大丈夫だろう。


 ライドとメルスは早朝から車を出して、街の外で自動車製造をするらしい。


 材料生成は街の工房の高温炉を使わせて貰うつもりみたいだから、材料はバティカから持ってきた分と街で鉄が買えれば問題無いだろう。


 今回作る自動車を飛行機にするつもりは無いから、躯体をシエロ合金にする必要も無いし、特別な設備は必要無いみたいだ。


 とはいえ、イクスから保存食とコンロを借りて行ったらしいから、数日間は戻ってこないかも知れないな。


 で、俺達は街のロータリーで何をしているかというと、例の「噂の商人」に会ってみようと、露店をブラブラしながら、「噂の商人」が宿屋から出て来るのを待っているという訳だ。


 シーナが通信傍受の玉を持っていて、俺達のデバイスにも接続してくれているので、噂の商人達がデバイスを使ったら俺達にも情報が伝わる様に設定してもらっている。


 今のところ動きは無い様だが、この街で噂になるくらいの商人なんだから、いずれ動くに違いない。


 しかも、街に通信中継機を設置したから、イクス達やメルス達とも街の近辺に居ればどこでも通信が可能だ。


「あ、ミリカから通信ね」

 とティアが言うのと同時に、俺のデバイスにもミリカがティアに宛てた通信を傍受していた。


「商会長の元に、噂の商人が居る。私達はまだ商会長には会えていない」


 という内容だった。


「なんだ、俺が寝坊してた間に、噂の商人はもう外出してたのか」

 と俺が言うと、ティアとシーナもバツが悪そうに

「ごめんなさい、私達が見ておけば良かったね」

 と言った。


「まあいいさ。とりあえず、俺達も商会に向かおう」

 と俺はティアとシーナの手を引き、貴族街方面にある商会の建物へと向かう事にした。


 20分位は歩いただろうか。


 神殿から東にしばらく歩くと、街の景色がガラリと変わってきた。


 密集していた建物はまばらになり、その代わり建物が立派になってきた。


 塀に囲まれていてよく見えないが広い庭もある様で、昨夜俺が空から見た時は暗くてよく解らなかった建物の姿が、近付くにつれて明瞭になって来た。


「大きな建物なのです」

 とシーナが言った。


「そうだな。貴族の館ってのは、どこもこんな感じなんだろうな」

 と俺は言い、「多分、この中にはメイドを沢山雇っている所もあると思うぞ」

 と俺は続けた。


「それなら、ミリカのメイド服がよく売れるかも知れないね」

 とティアが言う。


 まさにその通りだ。


 貴族の衣装を刷新し、メイドの衣装も刷新すれば、彼らの権威も向上した様に見える事だろう。


 それは貴族達の自尊心を大きくし、街の統治に影響を及ぼしていくだろう。


 その影響が「良い影響」になる様に、こちらで調整してやらないといけない訳だが・・・


「そうだな、色々課題はあるが、ミリカの衣装はよく売れると思うぜ」

 と俺は言った。


 最初の課題は商会への届け出なのだが、商品の販売戦略をよく考えないといけない。


 露店で貴族向けの服を販売しても、おそらく貴族は露店で売ってる衣装にはあまり興味を抱かないだろう。


 どちらかというと、商会から直接貴族を紹介してもらって、直接売り込むのが良さそうだ。


 そして、貴族の衣装を手掛ける俺達の衣装をブランド化し、同じ系列のブランドとして庶民向けの衣装を露店で販売すれば、街の住民は「お貴族様の服と同じメーカーの衣装だ」と言って、いつもより少しだけ良い服を買おうとする流れを作りたいところだ。


 それに、バティカでも考えていた事だが、ここでは石鹸を流通させたい。


 イクスが精製した植物油が沢山あるので、あとは塩を電気分解して水酸化ナトリウムを精製すれば簡単に量産できるだろう。


 電気分解はティアに頼むとして、石鹸作りは、街の工房に作り方を伝授して作らせたいところだ。


 この商権を商会に提示すれば、恐らく商会は俺達に色々便宜を計ってくれると思っている。


 そんな事を考えている内に、「エイム商会」と書かれた看板を掲げた建物が見えて来た。


「ここが商会だな」

 俺は建物を見上げた。


 まるで貴族の館の様に大きいが、庭は無くて玄関が大通りに面している。


 玄関前には10段程の石造りの階段があり、入口の扉には両開きで、片方の扉が開けっぱなしになっている。


「よし、入ろうか」

 と俺が言うと、ティアとシーナも頷いて付いてくる。


 石造りの階段を上がって開けっ放しの扉を潜ると、2層吹き抜けの広いロビーに出た。

 ロビーは20メートル四方の空間で、正面にカウンターがある。

 四方の壁にはいくつもの扉があり、今しがたそのうちの一つの扉から、商人風の男と商会の担当者らしき男が出てきて、「いい商売になります様に」と言いながら商人風の男を見送っていた。


 商人風の男は俺達の姿をチラリと見ただけで何事も無く通り過ぎ、そのまま建物を出て行った。


 商会の担当者らしき男は正面のカウンターの隣にある扉を開けてその奥に入って行き、そのまま姿を消してしまった。


 俺はデバイスでミリカに通信を送った。


「ミリカ、俺達も商会の建物に到着したが、今どこに居る?」

 と俺が送ると、すぐに

「2階の応接室の様な部屋でイクスと一緒に待たされています」

 と返事が来た。

「了解した」

 と俺は返信し、そのまま正面のカウンターに向かって歩き出した。


 カウンターには3人の受付嬢がいて

「いらっしゃいませ。ご用件を伺います」

 と一番左の受付嬢が声を掛けて来た。


 若い女だが、20歳前後だろうか。

 栗色の髪を束ねて後頭部でまとめていて、ネットで被せている。

 まるで中世のイギリスの貴婦人の様な髪型だ。

 衣装は3人ともそれぞれ異なるが、一様に高価そうな衣装を着ている。


「ああ、俺達の仲間が先に到着しているはずなんだが、商会長への取次ぎをお願いしたい」

 と俺が言うと、

「仲間といいますと、どなたの事をおっしゃっていますか?」

 と受付嬢が訊いて来た。


「イクスとミリカという二人組だ。先に商会長への取次ぎを依頼していると思うが?」

 と俺が言うと、カウンターの裏にある台帳に目を落とし、

「はい、2時間ほど前にいらっしゃっています。今は応接の間でお待ち頂いています」

 と答えた。


「俺達も同席をしたいのだが、案内を頼めるか?」

 と俺が訊くと、

「ただいま商会長は別の商人様と打合せを行っておりますので、しばらくお待ちいただく事になるかと存じますが、宜しいでしょうか?」

 と言った。


「ああ、構わん」

 と俺が言うと、受付嬢がカンターから出てきて、

「こちらへどうぞ」

 とカウンターの隣の扉へと案内をしてくれた。


 受付嬢の案内のままに扉を潜ると、正面には廊下が続いていたが、すぐ左にある階段を登って行く事になった。


 階段を登ると2階は絨毯敷の廊下になっており、廊下の壁には6つの扉が並んでいた。


 俺達はそのうちの一番奥の扉まで案内され、受付嬢が扉をノックし

「お客様をお連れしました」

 と言って扉を開けた。


 扉の中は10メートル四方の広い部屋で、部屋の真ん中に8人掛けのテーブルがあり、そのうちの真ん中の2席にイクスとミリカが並んで座っていた。


「よお、イクスにミリカ」

 と俺が声を掛けると、イクス達は立ち上がり、

「ショーエンさん! こちらに来られたのですね」

 とイクスが言った。


 俺は受付嬢に

「商会長の件、宜しく頼む」

 と言って部屋に入り、俺は一番手前の席に座る事にした。


 イクスは立ったままミリカを部屋の奥の席に移動させ、ティアとシーナを真ん中の2席に座らせた。


 イクスはミリカのすぐ隣に立ったまま、デバイスで俺達に情報を送って来た。


「今、商会長は噂の商人と面会中の様です。次に私達の元に来るという事ですが、かれこれ2時間ほど待たされている所です」


「ああ、受付嬢も同じ事を言っていたな。噂の商人に直接会うつもりだったが、商会長から聞き出した方がいい情報が得られそうだし、俺もここに居る事にする」

 と俺が返すと、皆が頷いた。


 それから30分は待たされただろうか、部屋の扉がノックされ

「商会長が参りました」

 と受付嬢の声がして扉が開いた。


「いやあ、お待たせしましたな」

 と部屋に入って来た男は、やや小太りの白髪の中年で、貴族達とは違った派手さのあるローブを着ていた。

 更に受付嬢ともう一人背の高い男が部屋に入り、男は扉の横に立って受付嬢は部屋の中に入って来た。


 俺はその場で立ち上がり、

「初めまして、商会長」

 と挨拶をした。他のみんなも俺に合わせて立ち上がり、軽く会釈をした。


「まあ、そう固い挨拶は抜きにして、どうぞお掛け下さい」

 と商会長の物腰は柔らかい。


 しかし商会長の目は俺達の衣装をジロジロと見ており、抜け目の無さそうな顔をしている。

 扉の横に立っている男も、動きやすそうな布の服を着ていて、短い袖から見える腕は鍛えられたであろう筋肉をしていてこの星ではそうとうな力持ちなんだろうと思わせる。


「随分と大勢でお越しになられた様ですな」

 と商会長は言い、テーブルの向かいの真ん中の席に座ると、受付嬢がその後ろに立ったまま控えていた。


「私が商会長のサルバ・トルシエです。今日はどのようなご用件ですかな?」

 と商会長は自己紹介をしつつ俺達の顔を見渡した。


 俺達は席に着き

「俺はバティカから来た旅の商人、ショーエン・ヨシュアだ」

 と言い、隣のティアから順番に

「同じく、ティアです」

「同じく、シーナなの」

「同じく、ミリカと申します」

「同じく、イクスです」

 と順に名乗った。


 サルバは俺達の自己紹介を聞き終えると、

「ほほう! バティカ王国から来られたと?」

 と言って目を丸くした。


「そうだ。バティカとの交易を再開する事を目的にやってきた商人だと思って欲しい」

 と俺が言うと、サルバは「フォッフォッフォッ」と笑い、

「それは素晴らしい!」

 と両手を叩き、「歴史上、バティカの衣服は質が高いと伺っております」

 と言いながら目を瞑り、

「しかし、この100年の間に我々も様々な商品開発をしてきましたからな。今ではバティカの衣服と言えども、はてさて、どれほど需要があるものか・・・」

 と言って、片目を開けて上目使いで俺を見た。


 何だこの、イヤらしい眼つきは。

 絵に描いた様な悪徳商人面だな。


 と俺は思ったが心の中に留めておく。


「ハハハッ、商会長殿。我々が売りたいのは衣服だけでは無いぞ」

 と俺は言いながら、ポケットから簡易ライターを出して見せた。


 サルバは俺の手にあるライターを見て、

「はて、それは何ですかな?」

 と訊いた。


 俺はその場でカチッと音を立ててライターに火を点けた。

 俺がガスを出している間は炎が揺らめき続ける。


 それを見た商会長は驚いた顔をして

「そ、それは・・・、どのような仕組みで?」

 と訊いて来た。


 俺はライターの炎を消し、

「先日、街の宿屋で聞いた噂話で、変わった格好をした旅の商人が、小さな棒で炎を点ける事ができる商品を売って皆が驚いていたと聞いてな」

 と俺は言ってライターをサルバの前に置き、「その程度で驚くのなら、この程度でも驚くのではないかと思って見せたのだ」

 と言ってサルバの顔を見返した。


「それを俺達はライターと呼んでいるが、俺達にとっては珍しくも無い商品だぞ」

 と言って、「イクス。商会長に使い方を教えてやってくれ」

 と言いながら、情報津波を使った。


 イクスが「はい」と返事をして、商会長の側に移動してライターの使い方をレクチャーしている。商会長もライターを手にして火を点けたり消したりしていた。


 サルバ・トルシエ。プレデス星人との混血だが8代に渡りプレデスの血は受け継がれていない。家は代々エイムの街の商会長を務めており、先代の時からバティカの衣装よりも発展した衣装の普及を目的に開発を行い、メチル王国の発展に寄与してきたメチル王国内でも屈指の商業界の重鎮じゅうちん

 貴族や王族との交流もあり、先ほどまではイスラ王国の商人とマッチとオイルランタンの商談をしていて、その商権を手に入れたばかりの様だ。


「どうだ? 噂の商人とやらがこの商会に来ていた事は知っているが、その商品と比べて劣る物でも無いだろう?」

 と俺はあくまで強気の態度で構える。


「ううむ・・・、確かにこれは驚きの技術ではあるが、夜道を歩くには使えん代物ですな」

 とサルバは言った。


「だろうな。俺達でも夜道を照らす照明を作る事は容易いが、商会長殿は噂の商人とも何らかの契約を行っただろうから、それを邪魔するつもりは無い」

 と俺は言い、「むしろ、そんなつまらない物よりも、この街をもっと発展させる商材こそ、この商会に相応しいと思って俺達は来たんだ」

 と言った。


 敢えて強気な態度で構えていたのはこの為だ。


 マッチやオイルランタンで驚く彼らに、ライターでさえつまらない商品だと言う俺達が、大風呂敷を広げる商材が一体どんな物なのか、興味を抱かずには居られない筈だ。


 案の定、サルバは目を見開いて俺の顔を見た。


「バティカの技術は、衣服だけでは無い・・・と?」

 とサルバの声は少し震えている。


 期待に声が震えているのか、それとも自分達の商売が荒らされるかも知れない恐怖からなのかは分からないが、サルバはもう俺達を無視はできない様になっている。


「バティカの技術は確かに優れているが、俺達はバティカよりも優れた技術を世界に流布する為に旅をしている」

 と俺が言うと、サルバは首を傾げ

「それはどういう意味ですかな?」

 と訊いて来た。


 よし、喰い付いた!


 俺はサルバの顔を真っ直ぐに見据え、

「商会長殿。バティカにも無い新しい商材を、この街で作り、それを世界に売りたいとは思わないか?」

 と言った。


 サルバの顔は信じられないとでも言いたげな顔をしている。


 しかし、乗ってくる筈だ。


 エイムの街だけでなく、王都にまでコネクションを持つ男だ。


 マッチとランタンの様に、他国の技術を自国内に広げるだけのビジネスと、自国内で名産品を作り、その商権を一手に束ねて世界に売り出せるビジネスがあれば、その利益を想像出来ない男ではない筈だ。


「ううむ・・・」

 とサルバは腕を組んで目を瞑り、

「して、その商材とはどんな物があるのですかな?」

 と訊いて来た。


 俺は、

「いくつかあるが、この街で生産可能な物の一つが、石鹸だ」

 と俺は言った。


「セッケン、とは?」

 とサルバが聞く。


「この国にも風呂があるだろう。身体を洗う洗剤の様な物だと考えてくれ」

 と俺は言った。


 しかし、サルバにはあまり響いていない様だ。

 やはり実物が無いと想像が出来ないのだろう。


「例えばそこのお嬢さん」

 と俺は受付嬢の方を見た。


「毎日湯あみをするのだろうが、油で汚れた身体を洗うのはさぞかし手間を要するだろう?」

 と俺が訊くと、受付嬢はサルバの顔を見て少し困った様な顔をする。

 サルバは受付嬢に

「良い。正直に答えなさい」

 と受付嬢に言った。

 すると受付嬢は姿勢を正し、

「はい、確かにそういう事も御座います」

 と言った。


 俺は頷き、

「そういう面倒から解放されるのが、石鹸という身体用の洗剤だ」

 と俺は言った。

「ちなみに一度でも石鹸を使った者は、おそらく今後もそれ無しでは満足出来なくなるだろう。これが貴族なら尚の事。世界中の貴族が欲しがる事は間違い無いぞ」

 と続けた。

 サルバは頷いて、

「なるほど、それが本当なら確かに興味深い話ですが、実物を見てみない事には何とも言えませんな」

 と言った。


「商会長殿の言う通りだ」

 と俺は頷き、「なので、近日中にまたお会いする日時を取り決めたい。その時に、俺達があなたに相応しい商材を揃えて持ってくるとしよう」

 と言った。


「良いでしょう。では、来週の月曜日の朝では如何ですかな?」

 とサルバが日時を指定してきた。


「ああ、いいだろう」

 と俺は頷き、「できればその時に、噂の商人も同席してもらう事は可能か?」

 と訊いた。


「それは何故ですかな?」

 とサルバは片方の眉毛を上げて不思議そうな顔で訊いた。


「なあに、あなた方の商売の邪魔をしない為にも、何をを知っておきたいからだ。ライターの様に、同じ様な商材があるとトラブルの元になるからな」

 と俺が言うと、サルバは理解したように頷き、

「分かりました。ガイア殿には、私からお声がけをしておきましょう」

 と言った。


 ふうん。噂の商人ってのは、ガイアって名前なんだな。


 ガイア・・・ 地球・・・


 ・・・まさかね。


 と俺はそんな事を思いながら

「忙しいところ、お時間をとって頂いた事に感謝する」

 と俺は立ち上がり、「今日はこれで帰らせていただこう」

 と言って全員を立たせた。


「では、来週の月曜日の朝に」

 とサルバも立ち上がって扉の横に立っている男に目配せをした。


 扉の横の男が扉を開け、少し頭を下げて目を瞑っている。


「では、失礼する」

 と俺達は言って部屋を出て、階段を降りていった。


 エントランスロビーに出た俺達は、そのまま脇目も振らずに建物を出て、玄関の石階段を降りた所で立ち止まった。


「という訳だ。来週の月曜日までに色々準備をしよう」

 と俺が言うと、みんなは

「はい!」

 と返事をして、一緒に宿屋に向かって歩き出したのだった。


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 宿に到着して、俺達とイクス達がそれぞれ自室に戻り、商会長に見せる商材の準備を始める事にした。


「とりあえず噂の商人には来週会えるだろうから、わざわざ俺達が独自に探す手間は省けたな」

 と俺が言うと、シーナが

「商会長を利用するところがさすがショーエンなのです」

 と言って俺の左腕に抱き着いた。


 ティアも俺の右腕に抱き着きながら、

「で、石鹸ってどうやって作るの?」

 と訊いて来た。


「そうだな、イクスにも材料を貰わないといけないから、あいつらも呼ぼう」

 と言って、デバイスで二人に「植物油と塩とボウルを持って部屋に来る様に」と送った。


 ほどなくして部屋の扉がノックされ、ティアが扉を開けると、イクスとミリカがやって来た。


「よお、帰ったばかりで呼び出してすまないな」

 と俺が言うと、

「いえいえ、いつでも呼んで下さい」

 と言って、イクスがテーブルの上にボウルと植物油と塩をドサっと置いた。


「ティアの発電機で、この塩を電気分解してもらって、水酸化ナトリウムを作って欲しいんだが、出来るよな?」

 と俺がティアに言うと、

「勿論よ」

 と言ってティアは部屋の隅に置いていた発電機を組み立て始めた。


 そして俺はデバイスで石鹸を製造するレジピを全員に送り、

「これを今から作るぞ」

 と言った。


 石鹸の作り方はそう難しくない。


 植物油と水酸化ナトリウムを40度位の温度にして混ぜて、あとはペースト状に固まってきたら型に入れて干しておくだけだ。


 植物油の種類によって香りも変わって来るので、イクスが持ってきた植物油の中から、香りの良さそうなものをいくつか選んで作る事にした。


 香りの弱いものを庶民用にして、花の香が強いものを貴族用にすればいいだろう。


 ティアは発電機の機能を使って、塩を電気分解して水溶液を作り、水酸化ナトリウムを作ってグラスに注いでいった。


 前世では、いわゆる「苛性かせいソーダ」と呼ばれる薬品だが、皮膚に付着すると肌を傷めるので、ティアにはフードを着せて顔を隠して作業をさせている。


 そうして俺達はボウルに入れた植物油に苛性ソーダを入れてかき混ぜ、ペースト状になったものを次々と木枠に入れていった。


 2時間くらいで石鹸作りは完了し、あとは型に入れた石鹸を干しておく事にした。


「なんだか、すごくいい香りですね」

 とミリカが言う。


「これで身体を洗うと、身体にも石鹸の香りが付いて、湯上りの身体がいい香りになるんだ」

 と俺が言うと、みんなが

「おお!」

 と言って驚いた様子だ。


「湯上りにいい香りがするティアやシーナが楽しみだぜ」

 と俺が言うと、イクスも頷いて

「ミリカは、この花の香りがよく似合うと思うよ」

 と言った。ミリカは

「素敵ね・・・」

 と言いながら、イクスとの夜を想像している様な顔だ。


「あとミリカには庶民用の衣装と貴族用の衣装を提示してもらいたいのと、イクスにはパスタを提示してもらいたい」

 と俺が言うと、

「お任せ下さい!」

 と二人は言って、「では、早速作業に入りますね」

 と部屋を出て行った。


 俺達は部屋に漂う石鹸の香りを嗅ぎながら、

「石鹸が完成するまで、本当は3週間位干しておきたいんだが、今週末まで干しておけば石鹸として充分使えるレベルになるから、今週末は試しにお前達にも使ってもらうつもりだぞ」

 と俺が言うと、二人は「楽しみね!」と言って抱き合っていた。


「ライド達の様子も聞いておこう」

 と俺はメルスとライドにデバイスを使って様子を伺う事にした。


 するとすぐに返信があり

「躯体は既に完成しています。街の工房でギアとベルトを作るのに3日ほどかかるので、週末には自動車が3台完成しますよ」

 との事だった。


「ほんと、あいつらは優秀だな」

 と俺が言うと、ティアとシーナが俺の顔を見て、

「私達は?」

 と訊いてきた。


 俺はハハッと笑いながら、

「お前達は優秀な上に、俺の心を癒してくれる最高の妻だ」

 と言った。


 二人は肩を震わせながら嬉しそうな顔をして、俺の身体に抱き着いて来た。


 ああ~、今夜はアレだな。

 お熱い夜になりそうだな。


 と俺は、頭の片隅で思っていたのだった・・・


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 翌日、ミリカは自室で衣装制作を続け、イクスはその手伝いをしていた。


 メルスとライドは自動車制作を続けているらしく、まだ部屋には戻っていない様だ。


 俺達は制服に着替え、午後の神殿に向かう事にした。


 バティカへの販路を作る為に布石を打っておきたい為だ。


 前回と同様、昼過ぎには次々と貴族の馬車が神殿の前に停まり、貴族達が神殿の中へと入って行く。

 俺達も頃合いを見計らい、神殿の中に入って行った。


 神殿の中は前回同様で祭壇を囲む様に並べられたベンチに皆が座っていた。


 俺達は前回と同じベンチに並んで腰かけ、神官の演説が始まるのを待っていた。


 すると、貴族が全員揃ったのか、神殿の扉が閉められ、辺りは静寂に包まれた。


 やがて神官が祭壇の前に立ち、貴族達を見回して両手を上げた。

「本日も、メチル王国を支える貴族の皆様が集いし事に感謝を申し上げます」

 と言いながら振り返って龍神の像の方を向き、俺達に背中を見せる。


「おお! 龍神クラオ様の御心が今日も安らかなる事に感謝を!」

 と神官が言うのに続き、貴族達も声を合わせて

「龍神クラオ様の心が今日も安らかなる事に感謝を!」

 と言った。


 神官はこちらを振り返り、

「本日は、とても喜ばしい話がありますぞ!」

 と言った。


 そして、手元にランタンを持ち上げ、

「これが我々に希望を与える光となるでしょう」

 と言って、マッチでランタンに火を灯した。


 そしてランタンを再度高く掲げると

「これは、同盟を結びしイスラ王国より、商人が持ち込んだものであります!」

 と話し出す。


「風が吹いても火は消えず、絶えず暗闇を灯すランタンというもので御座います」

 と神官がテレビショッピングみたいな感じで語っている。


 それを見た貴族達が「おお・・・」と声を上げて驚いている様だ。


「これにより、バティカへと続く道の開拓が更にはかどり、我々の悲願は早期に叶う事となりましょう!」

 と神官が言うと、「おおー!」と叫びながら貴族達が立ち上がって、パチパチパチと拍手が起こった。


 何とまあ、夜間工事でもさせるつもりか?


 と俺は思ったが、貴族達が喜んでいるのを見てると水を差すのも悪い気がして黙っていた。


「さあ、それでは皆様。心ばかりのご寄付をお願い致します」

 と神官は言って頭を下げ、それを合図に貴族達が立ち上がって祭壇の前の賽銭箱の様な箱に次々と金貨を投げ込んでいく。


 俺達も立ち上がり、最後尾に並んで賽銭箱に金貨を5枚入れ、列に並んで神殿の外に出た。


 そして俺は、すぐ目の前で馬車を待っている夫婦らしき貴族の男女に声を掛ける事にした。


「失礼だが、そこの貴族の方」

 と俺が声を掛けると、その貴族夫婦が振り返り、俺達の事を見た。


「何ですかな?」

 と男の方が訊く。


「我々はバティカより来た旅の商人ですが、少しお話を聞かせて頂いても?」

 と俺は訊いてみた。


「ほほう! バティカから来られたと?」

 と俺達の顔を見渡し、「ならば我が館に来られては如何か?」

 と訊いて来た。


 何だよ、いきなり自宅に呼びつけるのかよ。


 こいつらはバティカの遺伝子を欲しがるだろうから、ちょっと警戒しちまうぜ。


 俺は少し考えて、

「喜んで伺いましょう。ただし、明日の午後に」

 と言った。


 すると貴族は

「そうかそうか、それもよかろう」

 と笑顔で言い、「私は伯爵のエギル・ラージだ。君は?」

 と俺の顔を見る。


 俺は軽く頭を下げ、

「ショーエン・ヨシュアと申します」

 と言い「そしてこちらが、妻のティアとシーナです」

 と二人を紹介した。


「おお、そうか、ショーエン殿。これは妻のスージだ。明日の午後に我が館にて待っておるぞ」

 と言って、丁度やって来た馬車に乗り込んで

「では楽しみにしておるぞ。バティカから来たショーエン殿」

 と言って、馬車は走り去ったのだった。


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 翌日、俺達はミリカが作った特別な衣装を身にまとい、宿屋の前で、予め呼んでおいた馬車が来るのを待っていた。


 通りゆく人々が俺達の衣装をジロジロと遠巻きに見ているのを感じる。


 ふふふ、そうだろうとも。この衣装を身にまとった俺達が、只者で無い事は察しがつくが、正体が解らないから声をかけづらかろう。


 ほどなく馬車が目の前に停車し、御者が俺達の姿を見て

「あの~・・・、ショーエン様ですか?」

 と訊いて来た。


「ああ、そうだ」

 と俺は言い、馬車の扉を開けて俺とティアとシーナの3人が乗り込んだ。


「ラージ家の館まで」と伝えると、馬車は走り出して貴族街の方へと走り出す。


 石畳の上を走っているので、馬車の中は結構揺れた。


 しかし10分程度で貴族街に到着し、ひとつ交差点を曲がった所で馬車は止まった。


 御者が外から扉を開けてくれ

「ラージ家のお館です」

 と言って俺達が降りるのに手を貸してくれた。


 俺は銀貨を一枚支払い

「ご苦労だった」

 と一声かけて、ラージ家の館の門に居る使用人らしき男に声を掛けた。


「そこの者、ラージ家の当主に面会に来た。当主を呼ぶがいい」

 と俺が言うと、使用人らしき男は

「へ、へい!」

 と言って門の中に入って駆けて行った。


 しばらくすると、使用人とメイドらしき女が二人小走りで駆け寄って来るのが見えた。


 やがて俺達の元まで来ると、俺達を見て

「あ、あの、どうぞお入りください!」

 と、言って俺達を案内してくれる。


 メイド達に促されるままに館の玄関まで歩き、玄関扉を開けて館の中への促された。


 俺達が玄関扉を潜ると、そこは2層吹き抜けの玄関ホールになっており、四方の壁には調度品が並べられ、正面にある階段が2階の廊下へと続いている様だった。


「こちらでお待ち下さい」

 とメイドが言って2階へと駆け上がり、廊下を右の方へと走っていった。


 しばらくすると昨日神殿で話しかけたエギルが姿を現した。


 階段を降りながらエギルは俺達の姿を見て目を丸くしながら

「ようこそ我が館へ来られましたな!」

 と言ってから「し、ショーエン殿・・・で宜しいのですかな?」

 と自信が無くなってる様だった。


「エギル伯爵。昨日のお約束の通り、お邪魔しに来ましたよ」

 と俺は言って、「立派なお館ですな」

 と玄関ホールを見回した。


「お、おお! やはりショーエン殿でしたか! すっかり見違えましたぞ!」

 とエギルは言いながら階段を降りきった。

「まるで商人とは思えぬ気品を備えてらっしゃる。少し驚きましたぞ」

 と言いながら笑顔を作り、「さあ、こちらへどうぞ」

 とメイドが扉を開けて待機している応接室らしい部屋へと通された。


 応接室は広々とした部屋で、壁面には数々の調度品が並べら得ていて、漫画に出てくる貴族の部屋そのものという感じだった。


 テーブルも大層豪華で、装飾だらけのデザインをしているあたり、この国の貴族が「権威の象徴」への憧れを持ち始めているらしい事が分かる。


「さあどうぞお座り下さい」

 とエギルに勧められるままに席に着くと、エギルも向かいの席についた。


 メイドがお茶を持ってきて、カップに注いで俺達の前に並べてくれ、そのまま部屋を出て行った。


「エギル伯爵。本日はお招きいただき感謝します」

 と俺が少し会釈をすると、ティアとシーナも同じ様に会釈をする。


「いやいや、バティカから来られた商人と言えば、歴史に名を残すバティカの純血の血統として名高いですからな! お招きする事は当然の事です」

 とエギルは言いながら、やはり俺達の衣装が気になるらしい。


「エギル伯爵、私達の衣装に何かご不満でも?」

 と俺は歯に衣着せぬ物言いをすると、エギルはギョッとした様な顔をして俺の顔を見て

「い、いやいや、不満などとんでも無い! す、素晴らしい仕立ての衣装だと感じ入っていたのですよ」

 と慌てた様に言った。


「そうですか」

 と俺は言いながらエギルの顔を見て「エギル伯爵は、秘密は厳守できる方ですかな?」

 と訊いた。


 エギルは質問の意図が解らず戸惑っている様だが、

「秘密の厳守は貴族のたしなみですぞ」

 と言って笑顔を作った。


「そうか、ならば信じよう」

 と俺は口調を変え、

「実はな、俺達は龍神の使いとして、天よりバティカに降り立ち、旅の商人として世界を巡る者だ」

 と言った。


 するとエギルは息を飲んで俺達を見渡し、

「り、龍神の御使い様・・・ ですと?」

 と声を振り絞る様に訊いて来た。


「ああ、そうだ」

 と俺は言い、「この事は絶対に他言せぬ様にな」

 と言った。


 エギルの表情が、まだ信じられないといった顔で硬くなっている。


「そ・・・、それは勿論・・・で御座います・・・」


 と声を振り絞るエギルに、俺は質問してみる事にした。


「単刀直入に訊きたい。お前達がバティカを目指す目的は交易という事で相違は無いか?」

 と俺が訊くと、エギルは頷き

「は、はい。その通りで御座います」

 と言った。


「交易を行う理由は何か?」

 と俺が問うと、

「それは・・・、バティカの商人の復活の為で御座います」

 と、エギルはもう俺達を商人としてではなく、龍神の御使いとして接している。


 俺は、やんわりと情報津波を発動させながらエギルの話を聞いていた。

 情報津波は緩く発動させると、ちょっとした「嘘発見器」として使えるからだ。


「そうか」

 と俺は頷き、「では、バティカの商人に何を求めている?」

 と訊くと、エギルは少し躊躇ったが、ゴクリと唾を飲み込むと、やがて諦めた様に息を吐いて話し出した。


「私達の血筋を守る為で御座います」

 とエギルは言った。


 エギルの話はこうだ。


 バティカの商人を復活させ、やはりバティカの商人と娘達を結婚させる事で、貴族の家系の血筋を絶やさない様にしたいという目的がある事。

 さらに、血筋を守らなければ、龍神が襲って来た時に自分の命を守れないと信じているという事だった。


「バティカの商人は、いわば龍神の落とし子。その血筋を濃く受け継いでおけば、自らの落とし子を食らう事も無いでしょう。なので我々は、国を守る為にも龍神の血統であるバティカの血筋を必要としており、その為にはバティカとの交易をきっかけにする必要があるのです」


 という事だった。


 なるほど、そういう事か。


 つまりは、龍神の信仰が強過ぎて、龍神の庇護を受ける為には龍神の子孫と信じられているバティカの血筋が必要だと思っているという事だ。


 となると、別にこいつらは何も悪い事なんて考えちゃいない。


 ただ、国家と自分達の命が惜しい為に、バティカとの血縁を結びたいだけの事じゃないか。


「ならば、100年前は何故バティカに軍を差し向けたんだ?」

 と俺が訊くと、エギルは深くため息をついて、

「先祖の話によると・・・」

 と語りだした。


 エギルの話は、先祖から受け継がれた話らしいのだが、どうやら神殿で俺達が訊いた話と同じで「交渉団」を守る為に軍を興したという事らしい。


 しかしその時に、軍を興す事を提案した者が居たらしく、遠く海を渡った東の国「リリア王国」から来た「レプト」と名乗る魔術師の発案だったという。


「レプト?」

 と俺は訊いた。


「はい。伝記にもそう記されております」

 とエギルは言う。


 そのレプトという魔術師は、我々の軍隊が龍神の怒りに触れた事を知ると、高らかに笑って「ならばこれで龍を討て」と、見た事も無い光を放つ魔法の筒をメチル国王に手渡したという。


 しかし、メチル国王はそれを断り、龍神を祀る神殿を建てて「龍神の怒りに触れてはならぬ」と国中にお触れを出したそうだ。


 それを聞いた魔術師は、魔法の筒の光でメチル国王を殺害し、そのまま空を飛んで東の方へ去っていったのだとか。


「ほう、空を飛んで?」

 と俺が訊くと、

「伝記にはそうありますが、これはさすがに見間違いだと思われますが・・・」

 とエギルは汗を拭いながらそう言った。


「そうか。それでその魔術師とやらは滅んだのか?」

 と俺が訊くと、エギルはまた額の汗を拭きながら

「それは分かりませんが、その後リリア王国が何者かによって滅ぼされ、現在ではレプト王国を名乗っておりますので、恐らくはそこに・・・」

 と言った。


 レプト王国・・・ね。


 まるで「レプト星から来ました」ってアピールしているようなものじゃねーか。


「で、そのレプト王国とはどんな国だ?」

 と俺が訊くと、エギルは「はあ・・・」とため息をつき、

「怪しげな魔術を使う者が跋扈ばっこする、魔境の様な国だと聞いております。現在の国王はレプトと名乗り、東の大陸にある6つの国は、既にレプトの傘下にあるとも言われており、東の大陸に行った事がある旅の商人の話では、レプトの王を魔王と呼んで誰もが畏怖しているのだと聞いております」

 と言った。


 魔王?

 なんだよそのRPGみたいな話は。


 とは思ったが、概ね状況は理解できたな。


「そうか、貴重な情報に感謝する」

 と俺は言って立ち上がった。


「俺達は龍神の使いではあるが、表向きは旅の商人として旅をしている。しかし、龍神は俺達に、必要なら地上に裁きを下す事も許しているぞ」

 と俺はエギルの顔を見て言った。


「それは・・・つまり?」

 とエギルが訊く。


「その魔王とやら、俺達が成敗してくれよう」

 と俺が言うと、エギルは目を見開いて俺達を見て、

「おお!誠ですか!」

 と言って立ち上がった。


「御使い様! どうか、我々をお救い下さい!」

 とエギルはそう言って俺の手を両手で掴み、頭を下げて呻く様な声でそう言った。


「ああ、約束しよう」

 と俺は言い、「その為にもこの国の民には豊かになってもらわねばならん。我々が行う商売を全面的に協力せよ」

 と言った。


「仰せのままに!」

 とエギルは真っ直ぐに俺の目を見て応えたのだった。

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