お次はカエル2

「カエルの体液には薬の効果があるなんて言われることもありますから調べてみたかったんです」


 ジが伝えた以外にも活用法があるかもしれない。

 魔獣のなんてことはない体質から着想を得てそれを活かした物を作るジはスゴイとクトゥワも思っている。


 研究はしてきたけれどそれをどう活かすのかという視点が抜けていたことに気付かされた。

 ただ知るだけでなくその先に活用することも考えていくことも大事なのである。


 単純に研究するだけでは中々そうした視点で研究の成果を見ることは難しい。

 だからこそ人に寄り添った目線で見られるジには感心している。


「あとは単体活用だけじゃなくてパロモリ液との併用についても実験をお願いするよ」


 実際に使ってみると問題が分かることもある。

 パロモリ液について使ってみて分かったことは水に弱いということである。


 濡れてしまうと案外あっさりと流れて効果が落ちてしまうのだ。

 氷を入れて長持ちさせることはいいのだけどそのあと水になって濡れるとパロモリ液が流れるということがあった。


 そのために防水の効果がある体液でなんとか出来ないかも研究してもらいたいと思っていた。

 さらにはファイヤーリザードの時のように体液の生産量を増やす方法など、防水布を作る以外でも細かく調べて欲しいことはたくさんある。


 今ではクトゥワ、キーケック親子に加えてヒスも研究チームとして頑張ってくれている。


「何してるんだ、フィオス?」


 色々な魔獣が仲間になるにつけ、ますます不思議なのはフィオスである。

 パムパムとも奇妙な感じで仲良くしていたりとフィオスは大体の魔獣と仲良しさんになれる。


 そしてフィオスは今トイナの前にいるフィオスが跳ねてトイナがゲコゲコ鳴いている。

 フィオスはピョンとトイナの上に乗っかる。


 なんか知らないけどフィオスは仲良くなった魔獣の上によく乗せてもらっているような気がする。

 フィオスを乗せたままトイナがぴょんぴょんと飛び跳ね始める。


 トイナも緊張していたのが解けたようである。

 なんとも不思議な魔獣の交流である。


 フィオス自身は楽しいようでその感情がジまで伝わってくる。


「フィオスも不思議。


 でも面白い」


「そうだな」


「まっ、とりあえずこれでピムミアも仲間だ!」


「あ、改めてよろしくお願いします!」


「歓迎!


 よろしく!」


「よろしくお願いします、キーケックさん!」


「さんいらない。


 呼び捨てオッケー」


「わ、分かりました、キ、キーケック」


「うん!」


 キーケックとピムミアも仲良く出来そうだ。


「つきまして会長」


「なんですか?」


「ちょっと開発したものがありまして……」


「おっ、聞かせてください」


「クモノイタの応用なんですが大きいサイズでクモノイタを作って寝る時に下に敷くような物を作ってみたのです」


 クモノイタを枕にして仮眠を取っていたりするクトゥワはいっそのことクモノイタの上で寝たらどうだろうかと考えた。

 大型のクモであるユディットのジョーリオに手伝ってもらって大きめサイズのクモノイタを作った。


 厚みやくっつかないように使う布などを試行錯誤して快適に寝られるように何種類かを作っていた。


「最近クモノイタのストックも出来てきたのでちょうどいいと思います」


「中々面白そうだね。


 見せてもらおうか」


 勝手に商品開発なんてすれば不快に思う雇い主もいる。

 散々文句を言って追い出した後に商品のアイディアだけ盗むような輩もいる。


 でもジは違う。

 提案すればそれについて考えてくれる。


 アイディアを出せば受け入れて検討してくれる。

 クトゥワもおかげで色々と視野が広げることが出来るステキな環境であると思う。


「な、なんで泣いてるんだ?」


「年を取ると涙もろくなりまして」


「そ、そう……」


 さらには息子とも働けて、給料も研究費も出る。

 思わず涙も出てしまうというものであった。


 ただジからすれば謎のタイミングでクトゥワが泣き出したようにしか見えないのであった。

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