卵を抱えた少年4

 というか、友達ってどうやって作るんだ?

 ジはここに来て大きな壁にぶち当たった。


 正当な友達の作り方が分からない。

 バカみたいなことして友達になれるのは貧民街の子供の頃ぐらいのものだ。


 見たところユダリカは精神的に同年代よりも成熟したようなところがあるしもう少し大人な関係の築き方をしなきゃならない。

 けれど友人関係ってどう築くのか、よく考えたらジは分からなかった。


 思い返してみよう。

 過去のジに友人はいただろうか。


 いたといえばいたけど世に広く言う友人とはちょっと関係が特殊で、人間そのものも特殊な人たちだった。

 エやラは言わば小さい頃からの仲で大人になってから出来た友人は酒の席で向こうから話しかけてきたりとか特殊な環境で会った人たちだった。


 数も少ないし、自分から友人になりたいと近づいて友人になった人なんていなかった。


「チッ……いきなり暗い顔して飯くうんじゃねえよ」


「ごめん……」


「な、なんだよ」


 急にしょぼついたジにユダリカが動揺する。

 原因はユダリカじゃなくて過去のジが悪いのだけど悪い態度を取り続けた自覚はユダリカにもあった。


「ジ君!」


「ん?


 ああ……リンデラン」


「私もいるぞ」


「立ち直ったようだな?」


「心配かけたかな?


 もうだいじょーぶだ!


 次会った時はお前のことぶっ飛ばしてやるから覚悟しとけよ?」


 言葉の内容は物騒だけど冗談混じりにウインクしてみせるウルシュナ。

 ダンジョンでドラゴンを幻影と信じきれずに脱落してしまったウルシュナはしばらく落ち込んでいた。


 リンデランやエがアーティファクトを貰ったものだから余計に落ち込んでしまった。

 さらに幻影と信じきれなかったと言うことはジを信じきれなかったとも言おうと思えば言える。


 ジはさほど気にもしてなかったけどウルシュナはすごく気にしていたようだった。

 アカデミーに潜入してもタイミングが合わないのか2人にもそんなに会わなく、朝のゴミ処理にもウルシュナは顔を出していなかった。


 しかし歯を見せて笑うウルシュナは何か吹っ切れたようだった。


 たまたまリンデランとウルシュナも昼食でジを見つけた。


「えっと、あっ、オズドゥードルさん」


「ん、なんだジ、知り合いなのか?」


 意外な組み合わせに驚く。

 かの有名な卵を抱えた少年と実はアカデミーの生徒じゃないジが一緒にご飯を食べている。


 関係が分からなくてリンデランは首を傾げた。

 とりあえずリンデランがジの隣に座ってさらにその隣にウルシュナが座る。


「そういえばあんまり話したことなかっ……た」


 ユダリカは残ったご飯を一気に口に掻き込むとさっと席を立って卵を背負って行ってしまった。


「なんだよ……私悪いことしたか?」


「いいえ?


 してないと思いますよ」


「ああいうやつなんだよ」


 改めて友達を作ろうと思うとなんだか緊張してきたジなのであった。

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