貴方の力になりたくて2

 いてくれたら楽かもしんないなとは思ったけどいたらいたで一癖も二癖もある2人。


「えっと、パージヴェルはなんて?」


「お祖父様は反対でしたがお祖母様が行ってこいと言ってくださいました」


「リンディアが……」


 ダメだと言いそうな人であるのにまさかリンディアの方が許可するなんて思いもしなかった。

 パージヴェルはリンディアに弱そうだったし、リンデランとリンディア2人に言われたら勝てないのだろう。


「ウルシュナは……」


「お母様が……」


「なるほどね」


 こっちの方は納得。

 ヤンチャそうというと失礼に当たるかもしれないがお転婆娘感のある女性だったのでルシウスを押してでも許可を出しそうな感じはしていた。


「リーデがお母様の方に話しちゃうからだー!」


 別に行きたくないか行きたいかで言われると行きたかった。

 くだらないお嬢様ぶってつまらない授業を受けているくらいならダンジョンとやらに行ってみたかった。


 でもサーシャにバレると少し事情は変わる。

 もちろん行ってきなさいというがあなたが1番の活躍をしなさいと笑ってない目でウルシュナに言うのだ。


 1番じゃなかったところで怒りもしないし、本気で言ってるのでもないけど情けない姿だったなんて事になるとお小遣いを減らされかねない。

 やるなら1番を目指しなさいってのがサーシャの方針であるのだ。


 自己申告なのでウルシュナにもごまかしようがあるけれどウルシュナもウルシュナでウソがつけないし、サーシャにウソはほとんど通じない。

 どうせならルシウスの方を説得してくれればクリアしただけで喜んでくれただろうにと思った。


 どの道サーシャにはバレただろうけど。


「お祖父様にも、学長にもご許可はいただきました。


 あとはジ君の許可だけです!」


 鼻息の荒いリンデラン。

 意外と行動力が高くてジも驚きを隠せない。


「……ダメ、ですか?」


「い、いやダメじゃないぞ!」


 すぐにでもオッケーしてくれると思ったのに。

 笑ってよく来てくれたと言ってくれると想像していたのに。


 悲しそうな表情を浮かべるリンデランに慌てるジ。


 むしろタイミング的には助かったと言えるぐらいだ。

 ただパージヴェルやルシウスになんて言われるか考えたり、連携はどうするかなど考え始めてしまっていた。


「ちょうど来られない人が出たから助かるよ。


 2人がいいなら是非とも手伝ってほしい」


「もちろんです!


 私の魔法でジ君のこと、助けてあげますね」


「まあ、やるならちゃんとやるよ」


 魔法系1人、接近系1人が抜けたのでこの2人ならちょうどよい。

 エも若干不満そうだけれどリンデランやウルシュナが同じ年頃にしては高い実力を備えているのはわかっている。


 ジがいいなら口を挟むことでもないし、何も言わないけどなんか気に入らないからとりあえず頬を膨らましてはいた。


「ただ今日はお休みだけどな」


「えっ!」


「なにそれぇ〜私たちやる気満々できたのに」


「言ったろ、来られない人が出たって。


 だから今日は休みのつもりだったんだよ」


「なーる……まあしょうがねえか。


 リーデも驚かせたいっつって言わなかったしな」


「うっ、うぅ……」


 いきなり行けば喜んでもらえると思ったのだけどそれが裏目に出た。

 事前にメンバーが新しく来ることを知っていたならお試し的にも入ることを検討したのだけど4人しかいないと思っているのでユディットとライナスに休みだと伝えてしまっている。


 それで制服姿だったんだなとウルシュナは納得する。

 アカデミーでダンジョン攻略するからとわざわざ制服で来る必要はない。


 良いもの使っている制服だけれど本気で動くためのものでないのでなぜ制服なのか疑問であったのだ。


 ちゃんと動ける服できていたこちらがちょっと間抜けみたいだけどこれはリンデランが悪い。


「まあそう落ち込むなって。


 2人なら実力も分かってるし信用もできるから近いうちに攻略に挑もう」


「はい……」


 ちょっと驚かせようとするつもりが逆に手間をかけてしまったのでしょんぼりするリンデラン。


「あー……2人は昼は食べたのか?」


「うんにゃ、まだだよ」


「昼食べて帰るつもりだったんだけど2人も一緒にどうだ?」


「どうだ、リーデ?」


「ぜひ!


 ご一緒したいです!」


「むむぅ……2人で食べてくつもりだったのに……」


 パァッと笑顔になるリンデラン。

 エはますます不満そうだけどこの機会にリンデランとエの2人も仲良くなってほしいものだ。


「ふふっ、モテる御仁はツラいですね」


「やめてください、オロネアさん……」

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