第二十二話:リンロッ!オレ様達を早く運ぶッチョッ!
「チョぉ~~しっリンロっ! チョれじゃあ今からっ!
【トゥーチョ・ザ・アブソリュート信頼ファンクラブ会員】であるお前に、会員特典その1【オレ様の背中を見届けて・もっとオレ様を信頼してもいいぞ
そう意気込みトゥーチョは鉄の塊でも付けて向かい風に吹かれているかのような重い足取りで、トゥーチョが一歩一歩ゆっくりと是都貌の元へ戻っていく。
しかし一歩踏み入れる事にトゥーチョの顔は険しくなっていき、再び是都貌の前に立った頃には彼の顔は
そのトゥーチョと対面した是都貌は。
「君はだれ?」
「チョえっ?」
そう言って是都貌は、トゥーチョに近寄り彼の姿をまじまじと見渡した。
「確かに青クマ雪だるまさんの身体なんだけど~……でも顔が全然違う……………はっ!! お前もしかしてっ!! 【
状況を理解できぬままトゥーチョがとりあえず吐き出した名言は。
「チョっはっは……乗っ取られた方が悪いのさっ。さあっ、残り3日温泉でのぼせてこようっチョかっ」
「………何それ」
「チョえ?」
急に是都貌が見せた、恐ろしい程に冷めきった死んだ目にトゥーチョは固まった。すると。
「
断じて身体を乗っ取られてはいない健常な状態のトゥーチョがひたすら是都貌に痛めつけられているその光景をリンロは何とも言えぬ表情で見届けていた。
一見思考停止しているトゥーチョがひたすらにボコボコにされているかのようにも見えるが、この時トゥーチョは即興でその状況を有効活用できる方法を考えていた。
そしてトゥーチョが笑みを浮かべる。
「チョはッ!! もう元に戻ったから大丈夫だっチョよッ!!」
その言葉に是都貌の暴力が止まった。
「ほんとにもう大丈夫っ?」
「おうっチョ!! 君のお陰で身体を取り戻せたッチョ、まさに君はオレ様にとっての希望だっチョっ!! だから今日から君の事を是非っ!希望くんと呼ばせてほしいッチョッ!!」
「えぇ……っと……違うんだけどな~~……。いやっ、でも青クマ雪だるまさんの希望になれたんなら……うんっ分かった。それでいいやっ」
希望くん呼び認定を受けた直後、トゥーチョはリンロの方を振り向き遠くからでもよく分かるドヤ顔を見せ
(チョへッ!! 見たッチョかっリンロっ!! オレ様がゼツボウをキボウに変える奇跡的
(何でトゥーチョがドヤ顔を見せてきたのかよく分からないがずっとこっち向いてくるし、とりあえず
パチパチパチ
リンロの反応に満足したのかトゥーチョの視線は再び是都貌の方へと戻った。
「希望くんっ、どうかもう一度だけオレ様の未来を切り開いて欲しいんだっチョけど……お願いできるッチョかっ?」
「ピカーんッ!! 希望ですっ! 何でしょうかっ!」
「あのお店の中にいるお爺さんをあそこからどこかオレ様の見えない場所まで移動させてほしいんだッチョ」
「あ~~、ダブルホワイトコットンキャンディーさんの事だねっ」
そしてトゥーチョは自身の身にしまっていた超小型ダンボールの中から先日拾った非常食の【
「これでどうか頼めないっチョかっ?」
「! うわァ~っ
「………………。
覚えたてで使うにしてはチョイスが良くないっ言葉だっチョな……。まぁ、とりあえず頼んだっチョ」
「うんっ、おっけいだよ~~っ。まかせといてっ青クマ雪だるまさんっ!」
そう言って是都貌は冒テントイ録の中へ入っていき。
「ダブルホワイトコットンキャンディーさーーーんっ! い~~るぅ~~っ!?」
「ホワワッ、目の前にいるよねぇ~~~。
おや貌くんっ、いらっしゃいっ」
「あのねっダブルホワイトコットンキャンディーさんっ、少しだけダブルホワイトコットンキャンディーさんのお家に
その会話を冒テントイ録の陰に隠れ聞いていたトゥーチョは。
(…………覚えたてで使うにしてはチョイスが最悪な言葉だっチョ………。だんだん彼の将来が心配になってきたっチョ)
「う~~ん、さすがに不法侵入はいけないからね~~」
(ほらっダメだっチョっ……絶対あの言葉のチョイスのせいだっチョ)
「よしっでは私が許可を出してあげようっ。そしたら何の問題もないからねっ」
(!? いけたッチョ!!)
「……………許可………、………はっ! 思い出したっ! ありがとうございますっダブルホワイトコットンキャンディーさんっ! だったら僕もダブルホワイトコットンキャンディーさんに僕の不法侵入を許可する許可を出してあげますっ!」
「ホワワッ、そうかいっ。こちらこそ許可を出してくれてありがとうねっ。自由にゆっくりしていってね。
そうだっ、貌くんは好きなお菓子あるかい?」
「はーいっ! 僕が好きなお菓子はねっ【オシーさんの
そうして是都貌はモチャオーチに連れられモチャオーチの居住スペースへと入っていき。その2分後─────
トゥーチョが店内でロコイサ王を連れ出していると。
「やっ!」
トゥーチョの後ろから突然、是都貌が声を掛けた。
「チョわっ!! きっ、希望くんっ!? ダブルホワイトコットンキャンディーはどうしたんだっチョかッ!!」
「え? あっ! 今隠れんぼしててねっ、お部屋の中に隠れてもらってるから大丈夫だよっ。じゃあっ僕そろそろお家に帰らなくちゃだから、帰るねっ」
「そうっ……チョかっ。
助かったッチョよ希望くんっ。ありがとだっチョッ! ホイっ、追加報酬の賄賂レベル2だっチョっ!! 」
※【カポンダッチミルク】→カポンダッチホーンと呼ばれる牛型モンスターから採取可能なミルク
「リンロぉぉぉ~~~~ッ!! オレ様達を早く運ぶッチョ~~~~ッ!!」
ズザァぁぁッ!
たッ!!
ガシッ!!
合図と同時に傾斜から急ぎ
ダッッッ!!!
その直後であった。トゥーチョからの貰い物に興奮した是都貌が感情を抑えきれなくなり
「うワァぁぁぁぁ~~~~っ!! 賄賂レベルツーだァ~~~~っ!!」
その声は当然モチャオーチの耳に届き、ほんの数秒後彼の背後に老夫は立っていた。
「賄賂レベル2だって………? 貌くんっ、良ければこの賄賂レベル3で今来た人がどっちに行ったか教えてもらえないかねっ?」
モチャオーチが賄賂レベル3と称して取り出したのは【オシーさんの惜しいクッキー限定品・惜しい味】であった。
「ッ!!!?
わっ、賄賂レベル3ぃぃぃ~~~~ッッッッ!!? うん分かった今すぐ教えますっ! あっちですっ!! あっちに行きましたッ!! 早く賄賂レベル3下さいッ!!」
「そうかい、教えてくれてありがとうね~」
───────────────────────────────
タンっ
トゥーチョに言われるがままに全力疾走を始めて約5分。リンロが足を止めた。
「こんなとこでいいかっ?トゥーチョ」
そう言いリンロが自分の走って来た道を一度振り返り確認すると。そこにモチャオーチの姿はなかった。
「あー……トゥーチョの話聞いて念のため思いっきり走ったけど……一般の人相手に少し気合い入れすぎちまったな……」
リンロが走り逃げた距離は決して短くはない。追いかけてくる相手が一般的な人であれば、100%
「チョふぇっ!!? バッ、バキャキャッチョォォォーーーーッ!! 何で急に止まったんだっチョかッ!!? 急いでロコイサ王国まで走るッチョよーーッ!!!」
「え?」
(何でトゥーチョはこんなに焦ってるんだっ?)
リンロがそう思った一瞬だった。
「おやっ? 君は~───」
バッ
リンロの一寸先、背後から右手を伸ばしモチャオーチが迫っていた──────
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