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side.Madoka
昴クンがバイトを始めてから暫く経った頃。
そろそろ仕事にも慣れてきただろうから。
お店に行ってみたいと申し出たら…彼から快くOKの返事を貰えて。
丁度、友達の加藤と図書館に行く約束もしてたのもあって。
早めに待ち合わせして、昴クンのバイト先のお店でランチしようって事になったんだ。
カランとシックな扉を開くと、欧風な古さと現代的なデザインが混在する、お洒落な店内が広がっていて。
「いらっしゃいませ。」
その中で違和感無く、
けれど一際異彩を放つキミに…
オレは秒で心奪われる。
(わわわ~っ…こんなの反則だよ~…!!)
オレの兄ちゃんが言ってたんだけど…
実は昴クンだけじゃなく、晃亮クンも一緒にバイト始めたんだって聞かされて。
…んで、超絶美形なふたりが店に来てから、
お店の売り上げが、どエラいことになってるんだって言ってたっけ…。
つまり大黒字、前年比200%も夢じゃないらしく。
韓流ブームならぬ、ヤンキーブーム到来の兆しありな勢いとの事で。
さすがに信じ難い話だったけれど、
今ならはっきりウンと、頷けたんだ。
昴クンのバイト姿を見れば…ね。
薄いクリーム色の長袖シャツに、
短めの焦げ茶なネクタイを緩く閉めていて。
腰履きした同じ焦げ茶の長めなエプロンがまた、
長身でスタイル抜群な昴クンの色気を際立たせてたから…
オレの視線はもう、昴クンに釘付け状態なのである。
他にも男性スタッフを中心に、店員さんはいるんだけど…
なんだろ…昴クンのこの高校生とは思えない、
抜きん出た存在感。
同棲して毎日顔を合わせてるオレでさえ、簡単にノックアウトされるくらい似合い過ぎてるもんだから…
困ってしまう。
…だって昴クンを目に、そこかしこから黄色い声が聞こえてくるし。席を埋めるのが女性客ばかりなのは、単に女子ウケする店だからってだけじゃないハズだ。
ほら…あの女の子達なんて、
目が完全にハートマークになっちゃってるもん…。
「円サン…!」
そんな彼の飛びっきりの笑顔を独占し、
ついつい顔を緩ませるオレ。
なーんて、ちょっと自惚れ過ぎなのかな…?
けどもう周囲の目なんて気にしないぞっ~。
「へ~結構シャレた店じゃんなぁ~?円~。」
遅れて入ってきた加藤。
あ、ゴメン…オレお前の事すっかり忘れてたよ…。
その加藤の存在を、昴クンが認めた途端。
極上の笑顔がピシリと凍り付く。
気の所為かなと思ってたら、ビビりな加藤が急に怯え始めちゃったもんだから。
とりあえずオレの親友で、無害なんだと紹介すると…
「…円サン、こちらへどうぞ。」
…どうやら昴クンは、
加藤がお気に召さないらしい。
昴クンて根は優しいし、オレには敬語で話したりと。基本はイイコなんだけどなぁ…。
オレや晃亮クン、それから兄ちゃんや親しい人意外には…ちょっと人見知りしちゃうみたいだ。
同級生の友達もいないって言ってたし…
加藤はビビりなヤツだから、昴クンに睨まれると放心状態で…
昴クンはそんな加藤に構うことなく、オレの手を引いて席へと誘導していた。
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