2章第1話 今も浮かぶ

あなたは仕事の

電話をしているみたい


わたしはあなたを探して探して

走り回っていたのよ


見慣れた商店街

あなたは当たり前のように

そこにいた


走り寄るわたしをあなたは

片手をあげ静かに制止する


微笑む瞳

綺麗に通っている鼻筋

少しだけ高めの地声

183㎝の身長も

78㎏の体重も


そのすべては

わたしのもの

何もかもが

わたしのもの



電話終わったんだね

見上げるわたしを

抱き込むあなた


「こんなカラフルな

ズボン持ってないよね

パーカーだっていつもは

着ないくせに 変なの!

ねぇ 如何したの?」


笑ってるあなた

泣いてるわたし

おかしいよ


どうしうて

こんな事聞いてるの

わたし


「これが最後の恋?」

「ねぇあなたの最後の恋は

わたし?」

「ねぇわたしが最後の恋だった?」

笑って抱き締めるあなた

笑って頷くあなた

仕舞いには

わたしを抱きながら廻り始めた

「ねぇ答えてよ!」

見つめ合う

あなたとわたし


苦しい

息ができない

苦しい苦しい!

寝床から這い出る

息が息が

胸を締め付けられる

吐け 吐け

目を開けなくちゃ

天井だ

わたしの乱れた呼吸が

あなたを消した


わたしはあなたの最後の恋

あなたはわたしの永遠になった

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