Leo

私の死

死を実感したのはいつぶりだろうか。

物心ついたすぐに車に轢かれた時だろうか。小学生の頃走っている最中に足を捻挫した時だろうか。知らないおじさんに殺される夢を見た時だろうか。

死を実感する要素は、不安、痛み、恐怖等、数多く存在する。

死とは単純な言葉のように見え、私の頭では到底辿り着けない深いところに真意があるのだと思う。

なんだか宗教チックである。


時間がゆっくり感じられる。

不安とも、痛みとも、恐怖とも違う。

今までに感じたことのない死の要素である。


暖かい。


愉快である。


表現するならば、まだ少し肌寒さの残る春の朝、カーテンの隙間から顔を出した太陽の光と共に鳥の囀りが聞こえて来た時のような。


祖母の家で朝ごはんの味噌汁を堪能している時のような。


学生の頃の友人と久々に朝までカラオケを歌った帰り道のような。


どこか寂しく、懐かしくもある、余韻が私に襲いかかってくる。


私はもうすぐ死ぬ。


体ももう動かない。


余韻に身を任せ考えるのをやめた。


私はもうすぐ死ぬ。

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Leo @_le059

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