妹と転生してきたんだが、神からのギフトは妹だけ?

鯵の閉まり

第1話

〜電車〜

俺は佐々木隼人ささきはやと、社畜並みにバイトをし情報学を学んでいる大学生だ。


今日もバイト漬けで、体がボロボロだ。

大学に行き、授業が終わればそのまま直で大学に近いバイト先に行きそれから帰っている。


しかも、夜9時ぐらいなこともあり満員電車に巻き込まれ、ごった返した電車の中はとても息苦しかった。


駅が進むほど、人々が次々入ってきてもはや直立さえできない状態にあった。


こんなのが毎日あるんだ。毎日バイトバイトバイト。友達との遊びも、いくつか削っている。


うぅ........キツイ。

電車がガタンと揺れるたびに横の人に当たり、当たられる。ポケットに入っているスマホさえも取り出せず、本当に身動きが取れない。


何かを気にしていると、ストレスを感じてしまうためもう何も考えないことにしてそのままじーっと満員電車に揺れていた。



『次は波切なみきり〜波切〜」


まもなくして、自分の最寄駅に近づいてきた。

そのまま少し待ち、ドアが開きそうだったので開くドアから反対側にいた俺は「すいません、降ります........すいません........すいません」


自分が降りるための道を少し開けてくれているのに対して、みんなに礼を言っていく。


やっと出れた。。

習慣化されたことだが、いつになってもきつい。


俺は改札を出ていつもの帰路へと歩んだ。

ど田舎というわけでも、都会というわけでもないただの住宅街。


夜中ということもあり、この街を貸し切ったのかと思えるほど人気がなく昼間はどうどうと立っている街灯も寂しく思えるほどだ。


夜道を進み、何も変わらず家にたどり着きかけていた。


そして大学生の俺がなぜこんなにも生活を削っているかというと親が中学の時になくなったからだ。あまり思い出したくないから細かいことは言えないけど、そのため成人して大学生になった俺は自分の生活は自分で.....と独り立ちしたのだ。


そして理由はもう一つある。


「ただいま」


「お帰り.......お兄ちゃん」


そう、俺には佐々木穂花ささきほのかという義妹がいるからだ。


「どうした穂花、元気ないのか?」


いつもはこんな、抑揚のない淡々とした声はださない。もっと愛想良く「お帰り!お兄ちゃん♫」と俺が帰ってきたのを歓迎する天使のような、可愛い自慢の妹なのだが今日は少し拗ねているのかお調子が悪いようだ。


「シカッタ...........」


「ん?.......なに?」


俯いている妹様の様子を伺うように、近づいてみると俺に向かって急にものすごい勢いで抱きついてきた。


「寂じがっだよぉ!おにいじゃゃゃゃゃん!」


「うぉっ!」


勢いは良かったが、全然痛くなくてなんの必要もなく受け止めることができた。どうやら、寂しかったようだ。。

俺の妹はよく分からないが、兄の俺のことを嫌わらないのだ。一般家庭では兄→妹はあっても妹→兄はないらしい、このほとんどは思春期の訪れと同時に始まるのだ。


で、だ。俺の2つ下の妹つまり高校2年生だ、変態みたいなこと言うが成長的には思春期に入ってだいぶ立っているはずだが、なぜか嫌われない。


「うぅ......お兄ちゃん.......」


俺よりいくつか身長が小さいのに、抱きつきながら目を潤して見上げられたら兄の俺でも可愛いと思ってしまう。


「ごめんよ、穂花。バイトばっかり入れて寂しかったよな」


先程、義妹と言ったがその通りで俺のお母さんが再婚したお父さんの連れ子なのだ。

再婚したてでそんな幸せ真っ最中な中、親がいなくなった......その反動で今まで、ずっと学校に行ってたのだが精神的に行けなくなったのだ。


俺もだいぶ精神的に負荷を負ったが、兄として立ち上がらなくてはとどうにか立ち上がることができたのだ。


「ん〜ん、そんなことないよ。お兄ちゃん、私のためにいっぱい頑張ってること知ってるから......我慢できない私が悪いだけだし、、それに比べたら私はご飯とか家事とかぐらいしかできなくて........」


おいおい、俺の妹さんは何を言ってらっしゃるのだ。“家事ぐらい”って、、俺なんて、服すら綺麗にたためない家事スキルがクソで、バイトして金稼いでくるしか能がないスキルなしクソ雑魚プレイヤーなのに何を言ってるんだ。


「そんなことねぇよ!穂花は毎日美味しい飯作ってくれてるじゃん、俺穂花の美味しいご飯があるから毎日バイト頑張れるし大学だって元気に行けるんだぞ?」


「ほ、ほんと?......えへへ....嬉しい」


いつもの感謝を込めておまけに頭を撫でてやると

「うにゃ〜」と蕩けてしまって微笑ましい感じになっていた。

あんな事件が起こるも知らずに。

























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