第13話 因幡の国忠臣 木島吉嗣04

 わたしも殿についていく。

 殿と羽無殿があるいていくと、それについてくる者がいる。

 これが将棋隊とかいう者なのだろう。


「八の歩、清水根津吉、殿に御供するチュウ」

「六の歩、紅雀(こうじゃく)いっしょに戦うチュン」


 羽無殿に負けない小柄な男に10歳くらいの女の子。

 鼠に雀かよ。


「五の歩、立花兎千代、御供させていただくウサ」

「七の歩、鹿御前、戦わせてもらいますシカ」

 2人の少女が合流する。

 ウサじゃなくてピョンだろう。

 シカに関してはコメントもない。

 女子供ばっかりじゃないか。


「4の歩、烏丸小太郎、参上カー」

「3の歩、蛙沼玄蕃ゲコ」

 忍者ぽいけどカラスにカエルかよ。


 門を出るとき、門の両側に立っていた2人が付いてくる。

 

「二の歩、牛鬼無心斎参るモー」

「一の歩、駛馬小次郎、殿のために働くヒーン」

 やっと武士らしい体格の奴。

 でも、門番じゃん。

 全然統一性もないし、弱そうだし。

 こんなんで赤鬼とかと戦うの?

 絶対無理ゲーじゃん。


 大門が開く。

 って籠城戦じゃないの?

 これだけの戦力差で攻めようって言うの。

 バカじゃん。とりあえず、因幡の城って堅城なんだから、こもって戦えるじゃん。

 わたしも一の丸で防戦、、負けたら二の丸とか思っていたのに、台無しじゃん。

 弱いだけじゃなくて、戦術もないのかよ。

 なんか銀狼とかいうすごい軍師がいるらしいじゃない?

 その人に聞いた方がいいんじゃね。


 これって犬死じゃん。

 たぶん歴史にすら残んないじゃん。

 やっぱ、九里につこうかな。

 

「それでは、行くニャン。

 みんなついてくるニャン」

 そう言って駆けだす若殿。

 将棋隊はそれに続く。

 って、何このスピード? 

 みんな鎧とかつけてるよね。

 若殿たちはすごいスピードで行軍する。

 わたしたちは取り残される。

 ってアニマルスピードについていけないよ。

 そして、わたしたちの視界の中、どんどん距離が離れ、猫丸殿たちは小さくなっていくのだった。

 

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