変なアプリをインストールした日2
ズームアップされた惑星にスマホの画面が固定され、周りにいくつかの機能が追加された。
恐らくはこの機能を使ってゲームを進めていくのだと思うので、それぞれの機能を触っていく。
今ある機能は4つだ。
【ログ】
過去の記録が確認できます。
【スキップ】
ゲーム内の時間をスキップし、加速させます。
※イベント中はスキップできません。
【資源】
水や鉱物、タンパク源などの世界創造に必要な資源を惑星に追加できます。
※残り残量:5678
【マナ】
奇跡を起こすのに必要なエネルギー。
※残り残量:34567
ログとスキップ機能は分かる。
恐らくこの機能をうまく使い、ログで状況を確認しつつ、スキップの時間経過と共に世界を創造していくのだろう。
次に資源だが、これは詳細をタップし細かく見ると水、鉄、タンパク源、ガス、など他にも細かく分かれているようだ。
しかし、それぞれに【追加する】という項目があるので、この資源を追加した配分量によってどんな世界になるか変わってきたりするのかもしれない。
だがあまりに細かいので詳細は確認しきれないな。
ここらへんはスルーでいいだろう。
公式サイトも攻略サイトもないので手探りにはなるが、一応【オススメ配分1】【オススメ配分2】……、という配分の目安がいくつかあるので、そこまで酷いことにはならないと思いたい。
そして最後にマナだが……、これはよく分からないな。
奇跡を起こすのに必要なエネルギーってなんだ?
ここには【奇跡を起こす】という項目はあるものの、今はまだその項目がグレーになり操作できないようになっている。
いったいどういう要素なのか分からない。
「とりあえず全部見たが、……ずいぶん大雑把だな。機能も4つしかないし。まだ最初だからか?」
たぶん今後ストーリーを進めていくと新機能が色々解放されるのだろう。
そうに違いない。
とりあえずゲームの方針としては資源を惑星に投下して創造を進めるみたいなので、デフォルトで用意されている【オススメ配分1】を選び惑星に追加することにした。
「ポチっとな。……あれ?」
【追加する】を選ぶが、何の反応もない。
なんだこれ、どうなってるんだ?
もしかして放置型の育成ゲームなんだろうか。
スキップを押そうとしても【エラー! イベント中はスキップできません!】と表示されてしまうので、今はイベントの最中らしい。
意味が分からない。
仕方がないので俺はこのままゲームを放置し、風呂に入ることにした。
まあ、風呂から出る頃には何かしらの変化があるだろう。
放置型の育成ゲームっぽいし、こういうのは何か別のことをしながらダラダラと遊ぶのがベストだ。
◇
──30分後。
「ふぃー、温まったわー。さてさて、進行具合はどうなっているかな?」
俺はおもむろに放置していたスマホを確認し、画面を覗いてみる。
するとそこには、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていた。
「って、なんじゃこりゃああ!?」
俺の育成する予定だった惑星に宇宙空間からありとあらゆる隕石が降り注ぎ、地上を爆撃していた。
もはや大炎上である。
いったい何がどうなったらこうなるのか?
原因を究明するためにログを確認する。
……、……、【水分を多く含んだ彗星を惑星に投下】、【水分を多く含んだ彗星を惑星に投下】、【水分を多く含んだ彗星を惑星に投下】、【水分を多く含んだ彗星を惑星に投下】、【鉱物を多く含んだ彗星を惑星に投下】、【鉱物を多く含んだ彗星を惑星に投下】……、……、……。
「いや、マジかよ」
どうやらこれは【オススメ配分1】によって実行された、資源の追加による爆撃地獄らしい。
どえらいことになってるな、これが世界を創造するということか。
というかいくらなんでも表現が直接的すぎるだろ、もっとこう、ふわっとできないのか、ふわっと。
もはや元の惑星なんか見る影もないぞ、完全に別世界になってる。
その後しばらく、隕石や彗星の衝突を放心しながら見守っていると、ついにイベントが終了したのか新しいメッセージが表示された。
【資源の追加が終了しました。資源追加の余波により、月が創造されました。イベントクリア!】
イベントをクリアしたらしい。
いや、いいのかそれで。
俺の惑星めちゃくちゃになってるぞ。
しかも巨大な隕石や彗星と衝突した影響で惑星が欠け、欠けた大地が二つの月となってあたりを漂っている。
「ま、まあイベントクリアだし悪いことじゃないんだろう。まだ惑星には生命が誕生してなかったし、被害者はいない。大事なのはこれからだ」
ふと【スキップ】の項目を見ると、さきほどまでグレーだったアイコンが白く輝いている。
イベントを終えたことにより、時間を早回しできるようになったのかもしれない。
これ以上資源投下により世界をめちゃくちゃにする気もないので、迷わずスキップする。
【スキップを開始します、しばらくお待ちください。──次のイベントまで残り15分】
どうやらまた放置が必要になったようだ。
しかしスキップ中にもゲーム内の惑星は
天変地異が起こったことにより大破壊されマグマのような熱気で、追加された水分が蒸発し雲を作る。
そしてその雲が雨となって大地に降り注ぎ星を冷やし、徐々に大地を整えていく。
その繰り返しはまさに星が生きているかのような壮大なスケールで描かれ、とてもゲームでの出来事だとは思えない程だ。
ぶっちゃけ今、感動している。
「すげぇな……」
そうしてしばらく時間も忘れ見つめていると、『ピコンッ!』という音と共にスキップ機能が解除された。
いつのまにか15分経っていたらしい。
するとそこには綺麗な球体となった青の惑星に、だだっぴろい大陸と海が形成されていた。
まだ植物が無く大地に緑は無いが、それを除けばまるで地球のような姿をしている。
母なる大地の完成だ。
【惑星に大地と海が形成されました! 基本形の完成です! 新しい機能が解放されました!】
新しい機能とな?
画面を確認してみる。
【生命進化】
惑星に存在する資源を利用し、生命を創造し進化させます。
※一部特殊な生命の創造と進化には、マナが必要です。
────ついに、生命体を創造できるようになったらしい。
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