lux

倉部改作

Opening

epigraph

 なりたい自分に、なっていい。


 先生は犯罪政権の私に、そう言いました。

 戦争に加担した私には、もうそんな権利はないと思っていました。


 誰もが平等に飛び立つ機会チャンスがあって、

 誰もがいまある空の無慈悲さと衝突しながらも自由に飛び回ることができて、

 誰もがたどりつきたい場所へと目指して駆け抜けていく。


 民主主義と呼ばれる、空の世界。それを爆弾と灰で汚した私は、もうこの世界にいてはいけない。これまで何度もそう思ってきました。


 あのとき以来、何度も空を見上げます。

 この空に辿り着くため、かつての祖国を終わらせることになったとしても。

 いまある世界の人々に、悪魔と呼ばれ続けたとしても。


 もしも天使に、なれたのなら。


 アンジェリーナ・ルクス 国連総会議事録より

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る