第30話 撤退

 4日目の朝を向かえる。


 テントで寝るのなんて久々だが職場で泊まり込みのときの椅子で寝るのよりはずっと快適だった。

 社畜不幸自慢はそこそこに準備をする。


 定期報告という名の魔石売りは5日目の午前11時、ギルマスの出勤時間だ。


 売っても金貨1枚いかない程度にしかならないだろうが指定するDランクダンジョンも決めたし正直ギルドの様子も気になる。


 マイヤーが苦労するのは自業自得だが他に迷惑がかかっているのなら何もできないにしても知ってはおきたい。


 昼までしかいられないのだから足早にダンジョンに向う。

 

 ダンジョンに入り、1階層を着実に進みながらそのまま今日の目標の2階層へと進む。

 

 昨夜のスキルブックについては反省といっても問題なくやれたのでよりスムーズと思うと無難に剣術を上げた。


 が、これが失敗だった。


 聞いてはいたが2階層は弓を持ったゴブリンと腰袋に鋭く加工した石をもつ投石のゴブリンだった。


 2匹がこちらの左右斜めにそれぞれ離れ弓と投石で攻撃してくる。


 聞くとやられるのとでは大違いで軽装剣士型がソロでこれを突破するのは本当に難しい、どちらかに的を絞って近づこうとしても距離をとられもう片方の遠距離攻撃を食らってしまう。


最初の攻撃ですぐさま逃げ出しポーションを飲む。


 せめて上げるのは剛力にして小盾と剣を片手持ちにするか回避か距離を詰める移動速度、


 はたまた剛体で投石を我慢して戦うかなんて戦法はあったが剣術では対抗できない。

 

 最悪の選択をしてしまった。


 これでは計画自慢の「書記」どころか机上の空論である。さらに付け加えるとこいつらは変わらずただのゴブリンなので経験値は変わらないらしい。


 やってられるかとすぐさま撤退を決め1階層で時間まで狩り、そのまま帰ることにした。


 たださえゴブリンには嫌な思い出があるのにトラウマが増えた、いやそんな昔の話は忘れた。俺は今職員ではなく冒険者なんだから。


 4日目にして足踏みをしたがまだ日数はあるしスキルをとって再挑戦でいい。大ケガをしたら本当に間に合わなくなってしまう。


 舐められたくはないので街に戻ると寮で1日ゆっくりし、明日ギルドで2人としっかりと向かい合おうと考え部屋の前に着くと思いもかけない人物が待ち構えていた。


 その人物はこちらに気づくとそのまま抱きついてきて


  「私、帰りたくない」


 と泣きついてきた。いや、ララさんそういうセリフは食事の後の夜にいうもんであって夕方の出合い頭に言われても。


 ってそうじゃなく何この状況!



 混乱しながらもこちらも撤退を視野に入れる。



あとがき

―――――――――――――――――――――――――――――――――


ゆっくりめの成長ですがこのチートスキルの性質上そろそろ爆発しそうです。


 初投稿から10日で100名以上の方のフォローをいただきました。


 これからも頑張りますのでどうか


 よろしくお願いします(_ _;)


 

 

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