第26話 酒

 さて今日は夕方には街へ戻って「スキルブック作成」のクールタイムが終わるまで時間もあるので約束を早めに果たしておこう。


 酒屋に行き銀貨20枚の上等な酒を購入する。オマケしてもらったものに比べたら安いものだ。

 一旦寮に戻り準備し直してからホッカのもとへ向かうとする。

 ホッカの家は武器屋の奥の工房のさらに奥にあり工房か家かどっちにいるかわからないので武器屋の裏口である工房のほうからお邪魔する。


「失礼します、入っていいって言われてるから入ってくよー。」


 と一応近くのお弟子さんに伝える。

 職員として入った当初なんて工房どころか裏口の中にさえ入れてもらえず外で取り引きしていたものだが数年経つと外までいくのが面倒クセーと工房にまで入る許可を貰っていた。

 そこで機嫌悪そうに酒をあおるホッカをみつけた。


「オヤジさん、靴ありがとね。本当に助かったよ。  

 はい、これお礼のお酒。」


 余計なことは言わずに端的にお礼を言うと、


「オイ、テメー本当に何やってんだ、それと代わりのアレはなんだ、ガキの使い以下じゃねーか!」


 っと言いながらお酒を引ったくる。今飲んでたものより上物なので少しだけ機嫌が戻ったようだ。

 てかやっぱりマイヤーがやらかしたか、まあ無理だとは思ってたけど。


「マイヤーの馬鹿の件は本当にすまないが私は1ヶ月は確実に職員として働けない。

 理由は言えないんだ、男と男の約束なんで。

 全部終わったら話すよ、それも男と男の約束だ」


「フンッ、あんなのがテメーの上司だなんてほざいてたが、本当ならやめて正解だろうぜ。俺だってそこの筋にまで口は出しはしねーよ。 

 但し、テメーが仕事しないってんならその間何があっても俺とテメーの間には関係ねー。そこんところ忘れるなよ」


 俺がいない間にこことギルドがどれだけ揉めても俺には口を挟む権利はないってことか。

 当然だな。記念の魔石を思い出す


「ああっ、わかってるよオヤジさん。そんな辛気臭い話やめてせっかくいいお酒持ってきたんだ。俺にも飲ませてよ。」


 冒険者らしくもう一人称は俺でいこうと決めた。


「あぁっ、テメー今まで散々俺の飲みをこの後も仕事だからとか断っておきながらいい酒持ってきたらコイツ。

 飲むっていうんなら今までの分も飲ますからな、覚悟しやがれっ」


「それは勘弁だよ、種族が違うんだからオヤジさんほど飲めないよ」

 

「ウルセェ!ごちゃごちゃ言わずに飲みやがれ!」


 全く前世ならアルハラだな、戻って「スキルブック作成」は絶対にしなくてはいけないのでそこは線引きしつつも付き合うことにした。

 試験のことは内密にしつつも今後の攻略の上での相談をした程度だが割と何故か楽しい時間を過ごせた。

 俺だってあんなに苦手だったんだから後はマイヤー次第だ、俺は俺のことだけ考えよう。



 時間になり寮に戻ると酒を買う前に確認していた増えているスキルブック候補を吟味した。








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レベルアップごとのステータスが挟みすぎてストーリーのテンポにも影響しそうなので今回は割愛します。


次話から新たな場所での冒険になります。


 良ければ応援よろしくお願いします。

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